ソーシャルビジネス

NPO法人とイギリスのCICの話

2016年3月6日

NPO法人と株式会社のちがい

少子高齢化、過疎化、格差、子どもの貧困・・・、”課題先進国”といわれる日本が立ち向かっていかなければならない社会課題はたくさんあります。

地域の社会課題というと、少し前まではもっぱら行政や市民活動団体が取り組むものというイメージでしたが、ここ数年、ビジネスの手法で社会課題を解決しようと考える企業や起業家も増えて来ています。その背景には、特に地域でビジネスを行う企業が、企業が持続するためには地域の持続が不可欠であると気づき始めていることがあります。

これからソーシャルビジネスをはじめようと考えている方の中には、NPO法人と株式会社のどちらにしようか迷う方もいらっしゃると思います。「NPOってお金を儲けていいの?」とか「NPOで活動している人はみんなボランティアなんでしょ?」という勘違いしている方も多かったのですが、ここ最近はそういう誤解も減ってきたように感じます。また、ルール上は株式会社を資本金1円で作れるようになったので、設立面でも違いは減ってきたといえます。

ソーシャルビジネスの立ち上げを考えている方向けに、これらをまとめると次のことがいえます。

<NPO法人が向いているケース>
・設立費用をかけたくない
・法人格の取得を急いでいない
・設立に必要な人数を集めることができる
・ボランティアや寄付を中心に事業を行うことを予定している

<株式会社が向いているケース>
・設立の初期費用をかけることができる
・法人格の取得を急いでいる
・設立に必要な人数を集められない
・受益者から対価を得ることができる自主事業を中心に行うことを予定している

この中で特にどれがポイントかというと、「どのような社会を実現するために、どのような事業を行うのか?」という組織のビジョンと事業内容によって決めるべきだと考えます。
たとえば、児童虐待の問題、ホームレスの問題、ニートの就労問題など、受益者から対価を得ることが困難な分野で、寄付やボランティアの支援を中心に事業することを予定している場合には、支援者の共感を得やすいNPO法人の方が向いています。一方、女性のキャリア、ビジネスパーソンのプロボノ派遣など、支援する受益者から対価を得ることができる事業を行うことを予定している場合には、株式会社でも問題はないと考えられます。

ソーシャルビジネスを立ち上げるときは、「どちらの法人格の方がもうかりそうか?」という視点ではなく、「どのような社会を実現したいのか?」というビジョンと「そのためにどのような事業を行うのか?」というミッションから考えることが大事です。

 

イギリスのCICという法人格

イギリスには、日本の株式会社とNPO法人の真ん中にあるような「CIC(Community Interest Company:コミュニティ利益会社)」という法人格があります。これは、法律上の会社組織なのですが、コミュニティに対する利益の提供が求められます。つまり、もうけた利益を社会課題を解決するために再投資することを予定している会社です。
CICの法人格を得るためには、「コミュニティ・インタレスト・テスト」というCIC 監督局(Office of the Regulator of Community Interest Companies)のチェックをパスしなければなりません。このチェックは、次の3つの観点から審査されます。

① 設立の目的
② 当該組織が関与する事業範囲に関する記述
③ 活動により利益を得られる対象者(受益者)に関する記述

CICのもう一つの特徴として、「アセットロック」があります。これは、CICは株主や従業員の利益ではなく、広く社会への利益を目的とする法人だから、コミュニティに再投資するよう、投資家への配当について一定の制限をかけるものです。

日本でもソーシャルビジネスの法人格を作ろうという動きがありましたが、非営利セクターの活動が進んでいるイギリスに学ぶことは多そうです。

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CICについては、こちらの報告書に参考にしました。
「社会的企業についての法人制度及び支援の在り方 に関する海外現地調査 報告書」(内閣府, 2011)[PDF

 

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