ビザ申請のトリセツ

留学ビザの変更(2020年3月に卒業する留学生の方へ)

2019年12月7日

外国人留学生は、専門学校、大学、短大、大学院などを卒業するにあたり、「留学」ビザ」を他のビザに変更する必要があります。

この記事では、2020年の最新情報を踏まえて、留学生の卒業後の進路選択について、在留資格の視点からまとめます。大学・専門学校のキャリアセンターの方にもご参考となるよう、1から分かりやすく解説します。

この記事の対象となる方

  • 2020年4月から日本の企業で働き始める外国人留学生
  • 2020年4月入社の新卒外国人の採用を行う企業
  • 内定を獲得できず、就職活動を続けたい外国人留学生
  • これから就職活動をする2021年3月卒業予定の留学生
  • 大学・専門学校のキャリアセンターの職員の方

 

留学生が卒業後に変更できる在留資格

2019年に「特定技能」と「特定活動(本邦大学卒業者)」という2つの在留資格が新設されたことで、2020年3月卒の留学生からキャリアの選択肢が増えました

留学生が卒業後に変更できる主な在留資格

現状、約9割の留学生は「技術・人文知識・国際業務」ビザに変更しています。今後は、「特定活動(本邦大学卒業者)」ビザや「特定技能」ビザに変更する留学生も増えていくことが予想されます。

「特定活動(本邦大学卒業者)」ビザとは、どういう在留資格ですか?

2019年5月に新設された在留資格です。
日本の大学・大学院を卒業し、かつ、日本語能力試験N1に合格している留学生は、これまでより幅広い業務に従事することができるようになります。

「特定技能1号」ビザとは、どういう在留資格ですか?

2019年4月に新設された在留資格です。
日本語能力試験N4以上に合格し、在学中に技能試験に合格すれば、飲食店やホテルでの接客など、これまでは就労できなかった単純作業を含む仕事に就くことができます。
他方、更新をしても最長5年までしか日本に滞在することができず、永住申請など次のステップに進むこともできません。留学生本人の将来のキャリアを考えて、検討することが必要です。

 

留学生が、日本で企業に就職する場合

留学ビザの変更

留学生が就職活動で内定を獲得し、卒業後に日本で就職する場合、「留学ビザ」(在留資格「留学」)を「就労ビザ」(就労可能な在留資格)に変更する必要があります。

卒業前年の12月頃から申請することができ、審査期間の目安は1~2か月です。

外国人留学生の方へ
毎年1月~3月は、多くの外国人の申請が重なるため、結果が出るまでの期間が長引く可能性があります。2月下旬に申請したら、許可が出たのは5月に入ってからで、4月入社に間に合わなかったというケースもあります。早めの申請を心掛けましょう

外国人を新卒採用する企業の方へ
採用する企業の立場に立つと、「ビザのことは外国人本人が一番よく知っているだろう」と思いがちですが、在留制度について正しい知識を持っていることはまれです。新卒外国人を採用するときは、外国人本人に任せきりにせず、会社としてサポートすることをおすすめします。

 

留学ビザ ⇒ 技術・人文知識・国際業務ビザへの変更

「留学」ビザから「技術・人文知識・国際業務」ビザに変更する場合、審査のポイントは4つあります。

審査のポイント①
申請する外国人が就職後に担当する業務内容が、在留資格で認められている活動か?

<「技術・人文知識・国際業務」で認められる主な職種>
文系:総務(経理、人事、法務など)、企画、商品開発、デザイン、広報、通訳・翻訳など
理系:システムエンジニア、プログラマー、研究開発、CADオペレーターなど

飲食店、小売店等での接客、工事現場での作業など、いわゆる単純労働はできません。

審査のポイント②
外国人本人が、業務に必要な専門的技術・知識などを有していることを、学歴(学位/履修科など)から証明できるか?

審査のポイント③
受入れ企業の規模・実績から安定性・継続性が見込まれ、さらに本人の職務を活かせるための機会が実際に提供されるか?

審査のポイント④
外国人本人の報酬などが、日本人社員と比較して適当であるか?

 

必要書類

<申請する外国人本人が準備する書類>
〇 在留資格変更許可申請書
〇 顔写真(縦3cm×横4cm)
〇 パスポート(※ 申請時に入管の窓口で提示)
〇 在留カード(※ 申請時に入管の窓口で提示)
〇 卒業証明書(または卒業見込証明書)
〇 履歴書
〇 申請理由書

<就職する会社が準備する書類>
〇 雇用契約書(コピー)
〇 登記事項証明書(原本)
〇 会社案内(会社パンフレット等でOK)
〇 直近1年分の決算報告書(コピー)
〇 直近年度の給与所得の源泉徴収票等の法定調書合計表(コピー)
〇 採用理由書

※ 記載されている以外の書類の提出を求められる場合もあります。また、個別の案件によって提出する資料は若干異なりますので、詳しくはお問合せください。

「高度専門職」ビザのススメ

日本の大学・大学院を卒業して、日本語能力試験N1に合格している場合、新卒入社時から「高度専門職ビザ」を取得できる可能性があります。
このビザは、5年の在留期間が得られることなど優遇措置があります。ポイント式になっていますので、該当する可能性がある場合は、計算してみると良いでしょう。

 

留学生が、卒業後も就職活動を継続する場合

留学生が、卒業後も日本で就職活動を続ける場合、「特定活動(継続就職活動)」ビザに変更することが必要です。

「特定活動(継続就職活動)ビザへの変更が許可されると、6ヶ月、日本に滞在して就職活動を続けることができます。また、1回のみ更新の申請ができるため、認められた場合にはさらに6ヶ月の延長が可能です(合計で最長1年)。

対象

〇 日本の専門学校を卒業した外国人
〇 日本の大学、短期大学、大学院を卒業した外国人

卒業後、就職活動継続中にアルバイトをすることはできますか?

資格外活動の許可を受ければ、留学ビザと同様に、週28時間以内でアルバイトをすることができます。

現在、妻(または夫)が「家族滞在」ビザで日本に滞在してアルバイトをしています。私が「特定活動(継続就職活動)」ビザに変更すると、妻(または夫)のビザはどうなりますか?

妻(または夫)のビザも「特定活動」に変更する必要があります。本人が「留学」ビザを「特定活動(継続就職活動)」ビザに変更する申請をするときに、一緒に申請してください。

 

必要書類

<申請する外国人本人が準備する書類>
〇 在留資格変更許可申請書
〇 顔写真(縦3cm×横4cm)
〇 パスポート(※ 申請時に入管の窓口で提示)
〇 在留カード(※ 申請時に入管の窓口で提示)
〇 卒業証明書(または卒業見込証明書)
〇 住民税の課税証明書
〇 就職活動を継続して行っていることを証明する資料
〇 申請理由書

<卒業する学校が準備する書類>
〇 就職活動を継続することについての推薦状

※ 記載されている以外の書類の提出を求められる場合もあります。また、個別の案件によって提出する資料は若干異なりますので、詳しくはお問合せください。

 

お問合せ

留学ビザから就労ビザへの変更、就職活動を継続するための留学ビザの更新など、ご不安なことがある方はお気軽に「お問合せフォーム」または電話でお問合せください。

※ 日本語学校・短期大学・大学・大学院などでの外国人留学生向けの就職セミナー、個別面談なども行っています。

 

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