8月の終わりになってもまだ暑い日が続きますが、今日は事務所で中国の方と韓国の方の永住許可申請の書類を作っていました。
2019年7月から、永住許可申請の提出資料が大幅に増えました。特に外国人の方が気にしているのが、住民税の課税証明書・納税証明書の添付が「5年分」必要となったことです。これまでは「3年分」が求められていたので、実質、過去にさかのぼって「2年分」追加になった形です。
そんな中、最近、高度外国人材として永住許可申請するケースの問い合わせをいただくことが増えています。
永住権の申請をするためには、通常は日本に「10年」以上滞在したことが条件となりますが、高度人材外国人として申請する場合には優遇措置があり、ポイント計算して70点以上の場合は「3年」、80点以上は「1年」で申請できます。あわせて、住民税の課税証明書・納税証明書の添付も「1年分」または「3年分」でよくなります。
永住権を希望する外国人の方にとって魅力的な優遇措置ですが、高度人材外国人に該当する方の中にも、この制度のことを知らない方がいます。この記事では、高度人材外国人の永住許可申請はどのような場合にできるのか?について、わかりやすく説明します。
高度人材外国人として永住許可申請ができるケース
当事務所に問い合わせいただく方の中でも、次のように誤解している方が非常に多いです。
永住権を希望する外国人の方
高度人材外国人として永住許可申請の優遇措置を使えるのは、「高度専門職ビザ」を持っている人だけでしょうか?
この”誤解”から、「技術・人文知識・国際業務」など別のビザで在留している場合は、いったん「高度専門職」のビザに変更し、そこから永住権の申請をしなければならないと考えている方がいます。
しかし、実は「技術・人文知識・国際業務」など他のビザを持っている方でも、条件を満たせばそのまま永住許可申請の優遇措置を受けることができます。
<ポイント計算で70点以上の場合>
出入国管理及び難民認定法別表第1の2の表の高度専門職の項の下欄の基準を定める省令(以下「高度専門職省令」という。)に規定するポイント計算を行った場合に70点以上を有している者であって,次のいずれかに該当するもの
ア .「高度人材外国人」として3年以上継続して本邦に在留していること。
イ. 3年以上継続して本邦に在留している者で,永住許可申請日から3年前の時点を基準として高度専門職省令に規定するポイント計算を行った場合に70点以上の点数を有していたことが認められること。
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<ポイント計算で80点以上の場合>
高度専門職省令に規定するポイント計算を行った場合に80点以上を有している者であって,次のいずれかに該当するもの
ア. 「高度人材外国人」として1年以上継続して本邦に在留していること。
イ. 1年以上継続して本邦に在留している者で,永住許可申請日から1年前の時点を基準として高度専門職省令に規定するポイント計算を行った場合に80点以上の点数を有していたことが認められること。
上記の「イ」があるため、永住権を申請する時点で「高度専門職」ビザを持っていなくても、高度人材外国人としての条件を満たして在留していれば、高度人材外国人として永住許可申請を行うことができるのです。
次の図にパターンを整理しました。
申請時点のポイント | 現在持っているビザ | 申請できるか? |
80点以上 | 高度専門職ビザ | 申請できる |
その他のビザ | 申請の1年前の時点で80点以上あれば申請できる | |
70点以上80点未満 | 高度専門職ビザ | 申請できる |
その他のビザ | 申請の3年前の時点で70点以上あれば申請できる |
ご自身が何点か?は、「ポイント計算表」で計算してみてください。
ポイント計算は無料で行いますので、自分のポイント数にご関心のある方は、お気軽にお問い合わせください。
(出所)法務省 入国管理局ホームページ
当事務所で申請した方のケース(イメージ)
日本に来て8年。日本語学校(1年間)を卒業したあと、日本の大学(4年間)に入学し、就職して3年目の29歳。
学歴 | 大学を卒業 | 10点 |
職歴 | 3年 | 5点 |
年齢 | 29歳 | 15点 |
年収 | 400万円 | 10点 |
ボーナス | 日本の大学を卒業 | 10点 |
日本語能力試験N1合格 | 15点 | |
法務大臣が告示で定める大学 | 10点 | |
合計 | 75点 |
このように、母国または日本の大学・大学院を卒業して、日本語能力検定N1・N2を持っている方の場合、ご本人が意識していなくても高度外国人材に該当し、早ければ就職3年目で永住権を取得できる可能性があります。
高度人材外国人として永住許可申請する場合の注意点
ポイント計算の中で間違えやすいのが「年収」です。申請時点以前の年収と将来の年収の両方を証明する必要がありますが、将来の年収には残業代を含めることができないため、注意が必要です。
申請時点以前の年収 | すでに受け取った収入ですので残業代も含めることができます。 |
将来の年収 | 残業代は入れることができません。基本給、賞与(ボーナス)など確実に受け取ることが出来る収入だけで、勤務先から「年収見込額証明書」を発行してもらう必要があります。 |
「年収見込額証明書」の書式が必要な方には無料でお送りしますので、以下の「お問い合わせフォーム」にその旨をご記載のうえ、ご送信ください。