茅場町の商事法務研究会会議室で開催された、法と教育学会「法教育教材作成ワークショップ」に参加しました。
最初に、山口敬介先生(立教大学法学部准教授)から「子どもと大人の境界-民法の成年規定を素材として」というテーマで90分間の話題提供があり、その内容を受けて個人ワークで学習指導案を作成し、グループで意見交換を行うというプログラムです。
山口先生の話題提供は、とても興味深い内容でした。今年の参議院選挙から選挙年齢が18歳に引き下げられましたが、さらに、民法の成年年齢も20歳から引き下げるという改正案が来年の通常国会に提出される見込みです。20歳が成年と未成年を分けるということは、ほとんどの小中高生も知っていますが、そこに”法”はどう関係するのか?!この切り口から、成年・未成年を分けるルール、法の存在意義、思考方法などを子どもたちに考えさせる授業をつくります。
参加者は20名くらいで、小学校教員チーム、中学校教員チーム、高校教員チーム、士業チームと属性ごとに4つに分かれました。私のチームは、司法書士の先生が2名と行政書士の私、ファシリテーターとして明治大学の藤井剛先生の4名でした。藤井剛先生は、千葉県の公立高校教員から明治大学の特任教授となられた方で、主権者教育に関する著作なども多数出版されている方です。
▶︎Amazon:主権者教育のすすめ―18歳選挙権に向けて 先生・生徒の疑問にすべてお答えします(2016年6月, 藤井剛, 清水書院)
実は、行政書士に登録する前のことですが、千葉県で法教育分野の活動をしていたとき、先進事例としてよく藤井剛先生のお名前をお見かけして、私の名前と一文字違い?!ということもあり、印象に残っておりました。
ディスカッションの中で「選挙教育」の話題になったので、教育現場での中立性について質問させていただきました。高校の授業で選挙について扱おうとすると、特定の政党を支持している先生がいたり、地方の教員の中には「自民党に入れておけば良い」と考えている方が多かったりするのではないかと考えたためです。藤井先生の答えは、教員は価値観を伝えるのではなく、あくまで中立的な立場として、たとえば候補者ごとのマニュフェストを比較して、生徒自身が考えて答えを出す訓練をするような授業を行えば、投票率を上げる面からも効果的とのことでした。
私のチームの方たちとは、児童養護施設の子どもたちに法教育を実践したことがあるという共通点があり、作成した学習指導案にも、たくさんの有益なアドバイスをいただくことができました。クリエイティブで楽しいワークショップでした。
最後に、せっかく作ったので、私が作成した学習指導案をお見せいたします。
学校や児童養護施設などで、法教育の企画や講師のご要望があれば、お気軽にご連絡ください。