永住許可申請

外国人留学生の就職活動

2021年5月14日

- Q -
日本の大学で勉強している外国人です。卒業後も日本で働きたいと思っています。
いつから就職活動をすればよいでしょうか。
就職活動をするときに、気をつけることはありますか?

- A -
日本の企業には「新卒一括採用」という慣習があり、
スケジュールや進め方などが独特です。
希望する会社に入るためには、卒業する1年以上前から準備することが必要です。
就職が決まったら、就労ビザへの変更も忘れずに!

日本の就職活動の進め方

「日本の就職活動のやり方がわからない・・・」

当事務所に相談に来る外国人の方から、
留学生のときの就職活動で苦労したという話をよく聞きます。

日本の学校(専門学校・大学・大学院など)は、
4月に入学して3月に卒業するのが一般的です。

そして、多くの企業が、毎年3月に卒業する学生をたくさん採用します。
これを「新卒一括採用」といい、日本独特の仕組みです。

就職活動のスケジュール

就職活動は、次のようなスケジュールで進みます。

日本の就職活動のスケジュール

この図のように、会社説明会や選考試験が本格化するのは、
大学3年生(専門学校1年生)の3月からです。

しかし、その前から、インターンシップを実施している企業もあります。
インターンシップは、学校の夏休みや冬休みの時期に行われることが多いです。

就職活動は、大学3年生(専門学校1年生)の夏頃からスタートすると考えておきましょう。

 

就職活動の流れ

就職活動は、次のような流れで進みます。
よく理解して、安心して就職活動を進めましょう。

就職活動の流れ

①会社説明会に参加
卒業する1年前(大学3年生/専門学校1年生)の冬頃から、会社説明会が始まります。3月頃になると説明会が増えてきます。

②エントリーシートを送る
就職したい会社が見つかったら、「エントリーシート」(履歴書、職務経歴書など)を送ります。
企業が求めている人材を理解し、期待する能力があることを示しましょう!

③採用選考
6月頃から筆記試験、面接試験などの採用選考が本格化します。
「日本で長く働きたい」と思っている外国人は、そこをアピールしましょう!

④内定通知
採用選考に合格すると、会社から「内定」(入社の約束)の連絡が来ます。
なかなか内定が決まらなくても、あせらずに就職活動を続けましょう!

⑤勤務開始
会社で実際に働き始めるのは、卒業後の翌年4月からです。

 

就職活動の用語解説

就職活動でよく聞く言葉を説明します。

インターンシップとは?

インターンシップとは、学生が起業などで実習や仕事体験をする制度です。
期間は、1日のものから1ヶ月以上のものまで、さまざまあります。

会社説明会とは?

会社説明会は、その会社が目指すビジョン、強み、他社との違いなどを、学生に伝えるイベントです。関心がある会社の説明会には、積極的に参加しましょう!

合同説明会とは?

数社から数十社の会社が集まって行う会社説明会です。学校が主催するものもあります。たくさんの企業を知るチャンスですので、積極的に参加しましょう!

 

就職活動の情報は、どうやって集めるの?

「企業の求人情報をどうやって集めよう・・・」

これも、外国人の方が苦労するところです。
では、企業の求人情報は、どうやって集めればよいでしょうか?

留学生ができることとして、次のような方法があります。

就職活動の情報の集め方

学校の就職相談窓口(キャリアセンター、就職支援センターなど)に相談する
② リクナビ、マイナビなどの就職活動に関する情報サイトに登録する
③ 関心のある企業のホームページを調べる
④ 希望する企業に入社した先輩や知り合いに話を聞く

留学生の就職活動では、特に①が重要です。
なるべく早いうちに、学校の就職相談窓口に相談しましょう。
具体的な進路の希望が定まっていなくても大丈夫です。
留学生の就職活動にも詳しい先生が、
親身にみなさんの相談に乗ってくれるはずです。

 

日本の企業は、外国人に何を求めているの?

では、留学生は、就職面接で何をアピールすればよいでしょうか。

日本の企業が外国人を採用する理由を見てみましょう。

日本企業が外国人を採用する理由

この調査結果から、日本企業が外国人を採用する理由には、
次の3つのパターンがあることが分かります。

優秀な人材を採用したい
② 外国人の語学力や国際感覚に期待している
専門知識(特に理系)に期待している

 

次に、日本企業が外国人に期待するスキルを見てみましょう。

日本企業が外国人に期待するスキル

この調査結果から、「日本語力」「コミュニケション能力」は、
文系・理系を問わず必要とされることが分かります。

日本語力については、
日本語能力試験「N1」以上を条件とする企業が多いですが、
「N2」以上で応募できる企業もあります。
日常業務が英語で行われる会社では、
英語がネイティブであれば、日本語能力があまり問われないこともあります。

また、特に理系では、専門学校や大学で学んだ「専門知識」への期待が高いです。
その一方、文系では「専門知識」に対する期待は高くありません。
この違いは、日本企業の特徴として、外国人も知っておく方が良いです。

まとめると、次のような人材は、国籍を問わず、採用されやすいと考えられます。

採用されやすい外国人

〇複数の言語、文化に理解があり、日本と外国の「懸け橋」となる人材
〇科学、コンピュータ、金融などの専門性の高い知識や技術を持つ人材
〇新しい発想でビジネスを生み出し、ダイバーシティ(多様性)につながる人材

エントリーシートや面接では、これらのポイントをアピールしましょう。

 

「ブラック企業」に要注意!

「聞いていたのと違う仕事をさせられている・・・」
「給料や待遇が約束と違う・・・」

外国人の中には、就職先の企業のことを、よく知らないまま入社する人がいます。
そして、入社した後、「何かおかしい・・」と思っても、
ビザ(在留資格)のことが心配で、辞めることができないケースもいます。

就職先の会社で、次のようなことがあったら、役所の窓口や専門家に相談しましょう。

ブラック企業の注意ポイント

・外国人に違法な仕事(在留資格で認められない仕事)をさせる
・給料を約束した日に支払わない
・残業代や休日出勤分の給料を払ってくれない。
・同じ仕事をしている日本人より給料が大きく低い

当事務所に相談に来る人でも、次のようなことで困っている外国人がいました。

  • 飲食店をチェーン展開している大手企業に事務職で採用されたが、仕事が始まったら、店舗での接客や調理の仕事をやらされている。
  • インバウンド関係の貿易の営業企画と聞いて入社したら、外国人観光客にニセモノの日本製品(ブランド品・腕時計・宝石など)を売りつける仕事だった。
  • 正社員として働いているのに、必要な社会保険(健康保険・年金)に加入していなかった。
    ※本人は給料から支払われていると思い込んでいた。

悪いのは会社であっても、在留資格で認められていない仕事をしたり、税金や社会保険を支払っていない場合、外国人本人が不利益を受けることがあります。
ビザの更新や変更ができなかったり、永住権の申請をするときに苦労することもあります。

「ブラック企業」に就職しないよう、企業選びは慎重に行いましょう!

 

卒業したら、ビザの変更を忘れずに!

最後に、学校卒業後のビザ(在留資格)について説明します。

 

卒業後、日本の企業に就職する場合

学校を卒業後、日本の企業に就職する場合は、「就労ビザ」(技術・人文知識・国際業務など)に変更することが必要です。
就労ビザへの変更手続きは、卒業前の12月から申請ができます。
手続きは、内定した会社が行ってくれることもありますが、自分でやらなければならないこともあります。
手続きに間に合わないと、4月に入社できませんので、早めに動きましょう。

卒業後も就職活動を続ける場合

在学中に就職が決まらず、卒業後も就職活動を続ける場合は、「特定活動ビザ」に変更します。
特定活動ビザの期間は6か月です。更新が一度だけ認められるため、最大で1年間滞在することができます。

日本で長く生活していくためには、正しくビザを取ることが必要不可欠です。
不安なことがあったら、すぐに入国管理局化専門家に相談しましょう。

希望する会社に就職できるよう、がんばってくださいね!

 

よくある質問

学校を卒業した後、留学ビザの在留期限が残っています。そのまま、アルバイトを続けていて大丈夫ですか?

留学ビザは、学校に在学していることを前提とするビザです。
卒業後、留学ビザの在留期限が残っていても、変更する必要があります。

 

この記事を書いた人

藤井 祐剛 Yugo Fujii
CALICO LEGAL行政書士事務所 代表
入国管理局申請取次行政書士 / MBA(経営管理修士)
教育関係の企業、法テラス(法務省所管機関)、非営利団体の勤務を経て、行政書士事務所を開業。

 

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