慶応大学で開催された、有斐閣によるシンポジウムに参加しました。これは、「大人のための社会科」出版を記念して、共著の先生方が登壇するものでした。井手英策・慶大教授は、経済と幸福、希望について熱い思いを語られました。坂井豊貴・慶大教授は、経済学の言葉は主に私的財を想定しているので、公共財を前提に議論している場合でも、私的材と考える傾向がありがちだとも話されていました。宇野重規・東大教授は、自分自身の体験を元に地方の活性化の実例を題材に、地方の未来と都会人との関わりや地方の未来の形を話していらっしゃいました。松沢裕作・慶大准教授は、近世の日本史の研究者の立場から、公文書管理などのお話をされました。
最期にフロアからの質問を受け、ジェンダーの点から、富山県と東京を比較する話題がありました。 富山県では三世代同居が中心で、子供を祖父母に預け、日中働く環境に恵まれている一方で、若い女性にとっては窮屈な環境でもあり、20代女性が都会へ出て行くケースが多くなっているとの分析でした。北陸出身の私には、その分析は非常に納得できるものがありました。
シンポジウムでは、「トクヴィル」の話まで聞くことができ、さながら大学生に戻ったような気持ちになりました。いずれにしましても、素晴らしい夜でした。
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大人のための社会科
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