外国人雇用

外国人労働者を採用する際の法的な注意点

外国人労働者を採用することは、企業にとって多くのメリットがありますが、同時に法的な注意点も多く存在します。適切な手続きを踏まないと、企業や労働者にとって大きな問題を引き起こす可能性があります。
この記事では、企業が外国人労働者を採用する際に注意すべき法的なポイントを紹介します。

1. 在留資格の確認

在留資格の種類を理解する

外国人労働者を雇用する前に、対象となる在留資格の種類を理解し、適切な在留資格を持っているか確認することが重要です。日本には多くの在留資格があり、それぞれに就労可能な範囲が異なります。例えば、「技術・人文知識・国際業務」の在留資格は専門的な業務に従事する場合に適しています。

在留カードの確認

すでに日本にいる外国人を採用する場合ば、雇用前に必ず在留カードを確認しましょう。


表面


裏面

<確認すべき内容>
・在留資格
・在留期間(満了日)
・就労制限の有無  など

在留カードの確認は、企業の義務であり、違反すると罰則が科されることがあります。

 

2. 雇用契約の締結

適法な雇用契約書の作成

日本の労働法に基づいた「雇用契約書」を作成し、外国人労働者と明確な合意を交わすことが重要です。

▼ 雇用契約書に記載する主な内容

・労働条件
・給与
・労働時間
・休暇
・解雇条件  など

母国語での契約書提供

外国人労働者が日本語に不慣れな場合は、契約内容を正確に理解できるように、母国語での契約書を提供することが望ましいです。

 

3. 労働条件の遵守

最低賃金法の遵守

外国人労働者にも最低賃金法が適用されます。地域ごとに異なる最低賃金を確認し、それに基づいて給与を設定しましょう。

労働基準法の遵守

外国人社員にも、労働基準法が適用されます、労働時間、休憩時間、休日、残業手当などの労働条件を遵守する必要があります。

▼ 労働基準法の主な順守事項

労働時間
1日の労働時間:8時間以内
2週間の労働時間:40時間以内

休憩時間
労働時間が6時間を超える場合:45分以上
労働時間が8時間を超える場合:1時間以上

休日
週休:1週間に少なくとも1日の休日

残業(時間外労働)
36協定の締結:残業や休日労働を行う場合に必要
残業時間の制限:月45時間、年間360時間以内

割増賃金
時間外労働:25%以上の割増賃金
休日労働:35%以上の割増賃金
深夜労働:25%以上の割増賃金(午後10時から午前5時まで)

有給休暇
付与要件:勤続6ヶ月で8割以上出勤した労働者には10日間の有給休暇

解雇
解雇予告:解雇する場合、30日前に予告するか、30日分の平均賃金を支払う

 

4. 社会保険の加入

健康保険と厚生年金保険の加入

外国人労働者も原則として、日本の社会保険制度に加入する必要があります。
例外的に、社会保障協定を結んでいる一部の国については、母国の社会保険制度に加入していることで、日本の社会保険制度への加入が免除されます。
詳しくは、年金事務所にお問い合わせください。

雇用保険の加入

外国人労働者も日本人社員と同様に、雇用保険に加入する必要があります。

労災保険の適用

労災保険も外国人労働者に適用されます。労働中に事故が発生した場合に備え、適切な手続きを行いましょう。

 

5. 外国人社員が働きやすい労働環境の整備

外国人社員に対するハラスメント防止は、異文化理解と尊重の観点から特に重要です。職場でのハラスメントは労働者の健康に悪影響を与えるだけでなく、企業の対外的な信用にも影響を及ぼします。

以下に、外国人社員に対して注意すべき具体的なハラスメントの種類とその防止策を紹介します。

人種・国籍差別
・人種や国籍を理由にした侮辱や差別的な発言
・他の社員と異なる待遇を受けさせる
・日本語が不自由なことをからかう

宗教・文化差別
・宗教的な行事や習慣を尊重しない
・食事や服装に関する偏見や侮辱

パワーハラスメント
・職務上の地位を利用した過度な指導や圧力
・外国人社員だけに過重な業務を押し付ける

性的ハラスメント
・性的な冗談やコメント
・不要な身体的接触

社会的孤立
・会議やイベントから意図的に排除する
・社内コミュニケーションでの孤立

外国人社員に対するハラスメント防止には、差別や偏見を排除し、多様性を尊重する企業文化の醸成が不可欠です。全社員に対する教育と啓発を徹底し、ハラスメントの発生を未然に防ぐための取り組みを強化しましょう。これにより、外国人社員が安心して働ける環境を提供することができます。

 

まとめ

外国人労働者を採用する際には、多くの法的な注意点があります。
専門の行政書士などに相談することで、企業も労働者も安心して働ける環境を築くことができます。
この記事に書いてあるポイントを参考に、合法的な外国人労働者の雇用を目指しましょう。

当事務所も外国人社員に関するビザ申請の実績が豊富にあります。
ご不安のある方や、手続きをスムーズに進めたい方は、ご相談ください。

 

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