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外国人の子どもの教育

2021年5月16日

- Q -
日本で長く生活していきたいのですが、
日本語があまり話せない子どもの教育が心配です。
日本では外国人の子供の教育はどのようになっているのでしょうか。

- A -
日本では、外国人の子どもも、日本人の子どもと同じように
小学校・中学校で教育を受けることができます。
しかし、言葉の問題や文化の違いなどで、
学校にうまくなじめないケースも多いようです。

子どもにしっかりとした教育を受けさせるため、
日本の学校について早めに調べておきましょう!

子供の教育に悩む外国人は多い

「子どもが学校になじめずに困っている」
「日本の教育制度がよく分からない」

当事務所にビザ(在留資格)の相談に来る人からも聞きますが、
日本に住む外国人が感じている”不安”の1つが「子どもの教育」です。

横浜市が調査した『令和元年度 横浜市外国人意識調査 調査結果報告書』によると、
日本で生活する外国人が不安に思っているのは、次のようなことです。

日本で生活する外国人の不安

  1. 日本語の不自由さ(29.8%)
  2. 病気になった時の対応・病院で外国語が通じない(19.3%)
  3. 自分または家族の健康(14.7%)
  4. 災害時・緊急時の対応(14.6%)
  5. 子どもの教育(14.5%)

子どもと一緒に日本に来る場合、子どもの教育は大きな問題です。
この先、日本に長く住むのなら、子どもも日本の学校に入って、
国語(日本語)、算数、英語など、
いろいろな勉強をしてほしいと思っている外国人は多いと思います。

しかし、

「外国人は、日本の学校に入れるの?」
「日本語などの問題で、子供がうまくやっていけないのでは?」
「子どもの教育のことは、誰に相談すればいいの?」

など、わからないことばかりで悩む人が多いです。

 

小学校・中学校は、国籍に関係なく入れる

日本では、親(保護者)は自分の子どもを小学校と中学校に通わせて、
教育を受けさせる”義務”があります。
これを「義務教育」といいます。
外国人の親には、この”義務”はありません。

  • 日本人の親:子どもを小学校と中学校に通わせることが”義務”
  • 外国人の親:子どもを小学校と中学校に通わせることは”義務”ではない

一方、日本では、子どもには教育を受ける「権利」があります。
そこで、国際人権規約などもふまえて、
外国人の子どもも、日本人の子どもと同一の教育を受けることができます。

これは、親の権利ではなく、子どもの権利です。
そのため、親のビザ(在留資格)とは関係なく、
日本に住む子供であれば、小学校・中学校に入学して勉強することができます。

日本の公立小学校・中学校の授業料、教科書代などは無料です。
給食費、制服や文房具代、遠足・修学旅行費、PTA会費などがかかることがあります。

 

小中学校の入学のしかた

日本の小学校や中学校には、どうやって入学するのでしょうか。

まず、住んでいる市町村(住民登録している場所)の役所に行き、
入学の希望を伝えます。
すると、市町村は、その人の家の近くにある学校を指定します。
その学校に行き、先生たちと、学校での生活、勉強の進め方について話し合い、
入学を決めます。

日本の小学校・中学校では、年齢により学年が決められます
しかし、日本語があまり話せない子供など、
年齢通りの学年に入ることが難しいと判断された場合は、
下の学年に入ることもあります。

また、日本語の能力が十分ではない場合、
市区町村によっては、
日本語指導を受けるため指定された学校を
別の学校に変える場合があります。

市町村では、外国人の子供の就学相談窓口を設置しているところもあります。
また、英語や中国語、韓国語など各国語で「就学ガイドブック」を配布しています。

「就学ガイドブック」は、以下の文部科学省のWEBサイトからダウンロードできます。
あらかじめ読んでおきましょう。

外国人児童生徒のための就学ガイドブック:文部科学省
外国人児童生徒のための就学ガイドブック:文部科学省

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子供たちが十分な教育を受けられる社会に

日本の小学校や中学校に通うための手続きは、
それほど難しくありません。

しかし、制度が知られていなかったり、
入学しても日本語の問題などで学校になじめないなどの理由で、
十分に教育を受けられない子どもたちもいます。

私は行政書士の仕事のほか、
定時制高校、特別支援学校などでの講演や、
児童養護施設の子どもたちの支援など、
教育分野の仕事にも関わっています。

それらの教育現場で、日本語があまり話せず、
学校で苦労している外国人の子どもをたくさん見てきました。

行政書士となってからも、ビザ(在留資格)の相談とともに、
子どもの教育に悩む人たちの相談を受けることがあります。

たとえば、父が就労ビザを取得して日本に来たのですが、
中国から連れてきた小学校低学年の子どもが学校になじめず、
結局、帰国することになったといったケースもありました。

これから日本では、在留外国人の増加が予想されています。
日本語能力試験N3で取得できる「特定技能」というビザができたことで、
日本語力が十分ではない外国人も増えていくでしょう。

日本の学校が外国の方にとって学びやすい場所であること、
子どもの教育を受ける権利が守られるようにすること、
これからの日本の大きな課題だとおもいます。

私も行政書士として、入管法の専門性を高めることに加えて、
多くの外国の方が悩む子どもの教育について、
適切にアドバイスできるようになりたいと思っています。

悩んでいる方はお気軽に相談してください。
いっしょに解決の道を考えていきましょう!

 

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