特定技能

在留資格「特定技能」とは?- 行政書士がわかりやすく解説!

2023年1月29日

特定技能制度とは

2019年4月、日本国内の深刻な人手不足の状況に対応するため、一定の専門性・技能を有し即戦力となる外国人を受け入れる制度として「特定技能」が創設されました。
その背景から、国内の人材を確保することが困難な状況にあるとされる、14の特定産業分野のみが「特定技能」の対象となります。

<対象となる14分野>

飲食料品製造業分野 / 外食業分野 / 介護分野 / ビルクリーニング分野 / 素形材産業分野 / 産業機械製造業分野 / 電気・電子情報関係産業分野 / 建設分野 / 造船・舶用工業分野 / 自動車整備分野 / 航空分野 / 宿泊分野 / 農業分野 / 漁業分野

日本国内で外国人が就労可能な在留資格(ビザ)は複数ありますが、職種や在留期間、求められる要件などに違いがあります。自社の従業員として外国人を雇いたい場合、特定技能ビザを活用した採用が選択肢の一つになります。出入国在留管理庁によると特定技能ビザで滞在する外国人の数は8万7,000人を超え、今後一層の拡大が見込まれています。(2022年6月末現在)

当事務所でも特定技能外国人を雇いたい雇用主の方から問い合わせを頂くことが増えてきました。この記事では特定技能外国人の採用から雇用開始までの手続きについて解説します。

特定技能の主な特徴

  • 在留期間(日本にいることができる期間)は通算で5年まで
  • 一定の技能水準と日本語能力水準が設けられている
  • 家族の帯同は基本的に認められない

 

特定技能外国人の基準

在留資格「特定技能」を取得するためには、申請する外国人に一定の基準が設けられています。

<外国人本人の基準>

・18歳以上で健康状態が良好であること
日本語能力試験の基準をクリアしていること
特定技能測定試験に合格していること
・特定技能1号での在留期間が通算して5年に達していないこと
・過去にオーバースティ、オーバーワークなどの在留不良がないこと  など

 

特定技能外国人の受入機関(雇用主)の基準

適切に特定技能外国人を受入れるために、雇用主にも基準が設けられています。

<受入機関(雇用主)の基準>

税金、労働保険、社会保険を遅れることなく支払っていること
・1年以内に従業員を事業主都合で解雇していないこと
・1年以内に行方不明者を発生させていないこと
・法令違反等の欠格事由に該当しないこと
・報酬を銀行口座への振込等により支払うこと など

また、特定技能ビザの許可が下りて就業開始した後も、特定技能外国人が業務や日常生活を円滑に行えるよう適切な支援を行うことが義務付けられています。

<受入機関(雇用主)の義務>

・外国人と結んだ雇用契約を確実に履行すること(給与の支払い など)
・外国人への支援を適切に実施すること
・出入国在留管理庁への各種届出を行うこと

特定技能外国人の支援については、あらかじめ自社で可能か検討した上で、自社での支援が難しい場合は、登録支援機関に委託することも認められています。

<自社支援の場合の基準>

・特定技能外国人と指揮命令関係のない支援責任者と支援担当者を選任すること
外国人が十分理解できる言語で支援できる体制を有していること
・支援責任者又は支援担当者が外国人と定期的な面談を実施することができること
・分野に特有の基準に適合すること

<登録支援機関とは>

登録支援機関とは、雇用主から委託を受けて特定技能外国人の支援を行う、出入国管理局から認定を受けた機関のことです。

 

新たに特定技能外国人を雇用する場合のパターン例

① 留学ビザから特定技能ビザに変更して雇用する

留学生をアルバイトで雇っている場合、卒業後に特定技能ビザに変更することで正社員として雇用することが可能です。

② 技能実習修了者を特定技能外国人として雇用する

技能実習を修了した外国人は、特定技能ビザに変更することで引き続き日本での就労が可能になります。技能試験に合格すれば、技能実習とは異なる業種であっても就労可能です。

③ 母国にいる外国人を日本に呼び寄せて雇用する

海外にいる外国人を特定技能外国人として呼び寄せ、雇用することも可能です。ただし、海外で実施されている技能試験は日本国内と比べかなり少ないので注意が必要です。

海外にいる外国人を新たに採用したい場合、現地の送り出し機関を利用することで面接など設定することができます。現地の送り出し機関については出入国在留管理庁のホームページやインターネットで検索することが可能です。送り出し機関によって得意とする分野が事なる場合があるので、いくつか比較しながら検討するとよいでしょう。

 

特定技能ビザ申請から雇用開始までの流れ

特定技能外国人を採用する場合、雇用開始までの流れは次のように進みます。

① 条件確認

雇用主、外国人の双方が特定技能ビザ申請の基準を満たしているか確認します。

② 書類準備

条件に問題がなければ申請に必要な書類を準備していきます。

雇用関係・報酬等に関する事項に関するもの

・雇用契約書、 労働条件通知書(書式あり)
・特定技能外国人の報酬に関する説明書(書式あり)
・徴収費用の説明書(書式あり)
・雇用の経緯に係る説明書(書式あり)

雇用主の労働、社会保険及び租税に関する法令の規定の遵守に関するもの

・登記事項証明書
・業務執行に関与する役員の住民票
・労働保険料の納付証明書
・社会保険料の納付証明書
・国税の納付証明書
・法人住民税の納付証明書

その他、分野特有の基準に関するものとして分野ごとに定める書類の準備が必要になります。
現地にいる外国人を呼び寄せる場合は、国によって政府機関等が発行する書類の提出を求められます。
外国人が海外にいる場合、書類のやりとりに時間を要する場合もあるため、雇用開始まで余裕を持って準備を進めていく必要があります。

③ 特定技能ビザ申請

書類が揃ったら、管轄の出入国在留管理局に申請をします。

④ 許可通知

申請から結果通知まで、およそ1ヶ月~2ヶ月です。
留学ビザからの変更の場合は、新しい在留カードを受け取ります。
外国から呼び寄せる場合は、在留資格認定証明書を本人に郵送します。

⑤ 雇用開始

特定技能外国人が勤務開始できるのは、在留カードを受け取った後です。留学ビザから変更する場合は、ご注意ください。
海外にいる外国人を呼び寄せる場合、航空券の手配、住居の確保等入国に向けた準備をして迎え入れます。

⑥ 支援の実施

雇用開始後は面談の実施や特定技能外国人の相談に応じるなど適宜必要な支援を実施します。
登録支援機関に委託する場合は、登録支援機関が行います。

 

特定技能外国人を雇用する場合の注意点

特定技能外国人の採用を考えている方は、以下のことに注意しましょう。

① 日本人を採用するより費用がかかることもある

特定技能外国人を雇用する場合、直接雇用し、日本人と同等以上の報酬を支払うことが求められます。

<雇用契約に関する基準>

・報酬額が日本人と同等以上であること
・一時帰国を希望した場合、休暇を取得させるものとしていること
・外国人が帰国旅費を負担できないときは、雇用主が負担するとともに契約終了後の出国が円滑になされる措置を講ずることとしていること など

また、支援を登録支援機関に委託する場合は、別途、支援委託費が発生します。
ビザ申請や支援にかかる費用、雇用開始後の支援の内容等、事前に確認した上で、自社で受け入れができるか検討するとよいでしょう。

② 特定技能外国人は転職する可能性がある

在留資格「特定技能」で就労できるのは通算で5年が上限です。
また、特定技能外国人には転職も認められています
この点は技能実習生と異なるので、注意しましょう。
お互いが気持ちよく働くために、キャリアプランなどを事前に共有しておくことも必要です。

 

お問い合わせ

特定技能ビザの申請について、相談をご希望の方はお気軽にお問い合わせください。
なお、費用の目安は、下記のとおりです。

 

相談料:5,500円(30分 )
※ 個別具体的な書類の確認等をともなわない一般的な相談は初回無料です。
※ 申請手続きをご依頼いただく場合は相談料分を値引きしますので、実質無料相談となります。

申請手数料:165,000円(税込)
※ 依頼時に半額(着手金)、許可時に残りの半額(成功報酬)をお支払いください。
※ 建設分野、製造分野など、出入国在留管理局への申請以外の手続きが必要な場合は、別途。
※ ベトナム、フィリピンなど、外国人の呼び寄せに出入国在留管理局への申請以外の手続きが必要な場合は、別途。

 

-特定技能

Copyright© CALICO LEGAL行政書士事務所 , 2024 All Rights Reserved.