ビザ申請のトリセツ

外国人は民泊業界で働けるの?

2019年5月11日

ホテルや旅館などの宿泊施設に代わって、一般家庭などが部屋を有料で旅行者に提供するサービスを「民泊」と呼んでいます。
ここ数年で、訪日外国人が急激に増加したこと、また、個人同士の部屋の貸し借りを仲介するインターネットサービスが普及したこともあり、民泊への注目が高まっています。加えて東京オリンピック・パラリンピックも開催されます。

国内の宿泊施設不足と労働人口減少による人手不足を、どのように解消するかが大きなテーマとなっており、加速する宿泊需要に対応する受け皿としての民泊、民泊で働く外国人労働者の活躍に期待が高まっています。

民泊業界の外国人雇用の背景について

日本を訪れる外国人観光客の数は2016年に2,000万人を超えました。政府は、東京オリンピック・パラリンピックが開催される2020年には4,000万人の目標を打ち出しています。

訪日外国人旅行者数の推移

(出所)日本政府観光局プレスリリース, 平成30年12月19日

訪日する外国人が増えれば、多くの宿泊施設、多くの客室が必要となります。すでに東京や大阪、京都などのホテルの稼働率はピーク時になると80〜90%となり、客室単価も高騰してきています。
宿泊施設不足の受け皿になると言われている民泊の客室数も5万室の不足があると見られ、さらなる対応策が必要となっています。

このような宿泊施設の増加に伴い、深刻な人手不足も加速します。2019年4月から運用が始まった新たな在留資格「特定技能」の対象分野には宿泊業界も含まれており、民泊分野でも外国人労働者の雇用が見込まれています。

 

民泊業界、外国人雇用の有効性について

民泊業界に外国人労働者を受け入れることで人手不足の解消にもつながりますが、最大のメリットは若い力を補充できることかもしれません。
少子化で日本の若い労働力は目減りしており、新卒採用でも完全な売り手市場になっています。海外からの若い人材が、そうした穴を埋めてくれるとすれば、労働市場の見通しは明るくなると言えるでしょう。外国人労働者の中には、意欲的で高い向上心を持つ方も多くいます。

英語で「民泊」に相当する言葉は「Vacation Rental」ですが、外国人観光客の増加に伴い、宿泊客への対応でも英語をはじめとする外国語がますます必要な場面が増えることが予想されます。
訪日外国人観光客の3分の1が「日本での言葉の違いに戸惑った経験がある」と回答した調査結果もありますから、母国語に加えて日本語や英語など、多くの言語をしゃべれる外国人は魅力的な人材と言えます。

日本文化を身近に感じたい訪日外国人観光客が、あえてホテルでなく民泊を利用する場合もあります。しかし、日本人が考える日本文化と、外国人が好む日本文化にはギャップがあると言われます。同じ外国人によるアイデアや知恵が、民泊の企画やデザインに役立つことも大いにありそうです。
例えば、民泊客室物件のリノベーションを手がける不動産業者や民泊の企画・運営を行うコンサルティング会社なども、外国人スタッフが活躍できる分野になりえるかもしれません。

 

民泊ビジネスをはじめる場合に必要な資格

外国人の中には、日本に住んで民泊ビジネスをはじめたいと考える方もいらっしゃいます。この場合、日本で仕事をするには在留資格の取得が必要です。

日本で事業を立ち上げて民泊ビジネスをはじめる場合は「経営・管理」という在留資格(以下、「経営・管理ビザ」という。)の取得が必要です。民泊ビジネスの経営者という立場を取るための在留資格です。

経営・管理ビザを取得する際のポイントは、できる限り具体的な事業計画を作成することです。
例えば、〇〇市〇〇町の物件を一泊あたり〇〇○円で、月に何日間貸し出すといった宿泊条件や稼働日数に至るまでの詳細です。清掃サービスに関しても、〇〇社を1回〇〇○円で利用するというところまでしっかり割り出します。現実に実現できる内容で、細かい部分まで練られていなくてはいけません
また、資本金の設定やその出どころをクリアにして、違法な行為で得たお金ではないことを証明する必要もあります。

経営・管理ビザを取得したあと、在留期限が来ると更新手続きが必要です。3年が経過しても計画とは異なり利益が上がらない場合など、更新ができなくなる可能性があります。
民泊をはじめたい外国人の方は日本のルールにのっとり、きちんと法令を守って在留資格の申請を行うことが必要です。

高い技術を持つ外国人の方への在留資格は、今後、条件が緩和される方向ですが、ただやみくもに海外からの労働力を集めようという国ではないことを認識しておきましょう。違法だとは思っていなかったことが、実は違法行為だったというケースもありますので、ご注意ください。

ビザ申請や外国人雇用に関する手続きについて詳しいことをお知りになりたい方は、相談無料ですのでお気軽にお問い合わせください。

 

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