連休もあと二日となった5月4日、神田神保町をぶらりと訪ねた。本屋さんを巡っていると、何やら神輿が巡行している様子。どうも祭のようだ。
専大前の交差点に行くと、地下鉄の出口の横に、女子中学生が太鼓を並べて、太鼓合奏の準備の真っ最中。何時から始めるのかと興味を持って待っていた。
そのうち、町会長さんと思しき人が裃を着て通りに現れた。そうこうするうち、専大通りを西神田・専修大学の方から神輿の行列が廻ってきた。先ず、神田囃子の山車が「トン、チキ、チン」と前触れて廻ってきた。次に、「ヨイサ、ヨイサ」と大きな神輿が何十人という若衆に担がれてきた。見事なものだ。
先ほどの裃の町会長さんと思われる人が、別の裃を着た人から先導の引継ぎを受けた。合わせて、先ほどの女子中学生の太鼓演奏も始まった。見事、息がぴったり合った太鼓合奏である。
さらに、私の目を引いたのは大太鼓の銘が「浅野太鼓店」とあったことだ。浅野太鼓店は、太鼓を叩く人には、知る人ぞ知る名だたる有名店だと思うが、私には、それ以上に、石川県に所在する太鼓店(白山市福留町)ということで馴染み深い。
また、その太鼓には、昔秋葉原にあった練成中学(今は、神田一橋中学に併合されているとのこと)の名が墨書きしてあり、太鼓の伝統がこのように引き継がれていることに感動した。なお、余談であるが、秋葉原の錬成中学は、都内でも有数の有名校の一つだったようで、越境入学者も多数いたとのことだ。都心でも人口減や生徒数減などで中学などが統併合されるのは、仕方ないことだが、それにしても残念なことだ。
せっかくの機会だったので、三崎神社へ行ってお詣りしようと三崎神社の位置を地図で確かめたら、水道橋の手前にあった。そこで、白山通りを水道橋に向って歩いて行った。途中、日大法学部の前を通り過ぎ、神田三崎神社に着いた。
ここは、三崎稲荷といって、お稲荷さんらしい。
お詣りした後、また、神保町に向けて、帰ることとした。
白山通りを水道橋駅を背にして、歩みを進めると、社会科学系書籍中心の立派な書店があった。
ちらっと立ち寄っただけであるが、法学、経済学、教育、歴史など相当数の専門書が置いてあり、時間をかけて見る価値がありそうだ。
さらに、神保町に向かって歩いて行くと日大経済学部、東京歯科大学があり、学校が多数有ることに驚く。神田地区には、明治大学、日本大学、専修大学、共立女子大学など大学が多数立地していることを改めて実感した次第である。
また、神田神保町は、JR神田、秋葉原、御茶ノ水、水道橋、飯田橋、にぐるっと囲まれ、放射状に各駅に接する便利な町のような気がする。
なお、5月1~5日にかけては、中央区湊一丁目の鐵砲洲稲荷神社(八丁堀駅近く)でも、例大祭が行われていたようだが、行けなかったのが心残りである。
だんだん暑くなるにつれて、神田明神の例大祭(今年は蔭祭で5月15日に終わっている)や浅草の三社祭の季節となって、いよいよ、夏本番の季節となってくる。
(文/西川文明)