少し前のことになりますが、6月29日(火)、月島区民館で行われた東京都行政書士会中央支部の研修会に参加しました。講師は、弁護士の坂本廣美先生でした。講義は「行政書士の繁栄講座『しっかり稼いで感謝される要領』」と題して、新人行政書士がどのようにして業務を推進したら良いか、わかりやすく教えていただきました。講義の詳細は省きますが、概ね十の項目をあげて、説明されました。
行政書士の稼ぐ方法とは別に、私には強く心に残ったことがありました。坂本先生は弁護士でありますが、最近の行政書士の弁護士に対する萎縮傾向の考え方に対し、もっと弁護士に遠慮することのないように仕事をすれば良いと叱咤激励されました。また、民主主義の考え方や基本理念について熱く話されました。民主主義の理念は自由主義であると説かれ、それゆえ、行政書士の業務も一部において制約があるだけで、弁護士に遠慮なく自由に仕事ができると仰られていました。
私は、「民主主義の理念は自由主義である」という点に深く感銘を受けました。なぜかと申しますと、私は大学時代、法理学を専攻していましたが、まさに、この民主主義に基づく法理念を研究しており、民主主義の法理念は自由主義であるということを懐かしく思い出した次第であります。大学で教えを受けたのは、今では故人となった三代川潤四郎先生で、法理念のほか、オルテガの「大衆の反逆」やドラッカー教授の「断絶の時代」を題材に民主主義の考え方などを教えていただきました。特に、オルテガの「精神的貴族」が記憶に残っています。(なお、同じ法理学専攻の学生は、親友のMさんの二人だけであった。)
ちなみに、私が通っていた金沢大学は金沢城内にありました。お城の中にある大学は、この金沢大学とハイデルベルク大学ぐらいと称されていたが、今では金沢東北部の杜の里地区にキャンパス移転し、城内は代わりに金沢城の櫓の数々が整備されて、様変わりしています。喜ばしい反面、残念にも思われます。
(文/西川文明)