未分類

外国人を雇うときに知っておくべき在留資格の基礎(1)

2018年11月11日

日本ではこれまで、単純労働の外国人を受け入れないという政策をとってきました。しかし、今、2019年4月から「特定技能」という単純労働者も日本に滞在できる在留資格の創設に向けて検討が進んでいます。当初は、建設、農業、宿泊、介護、造船の5分野を対象とする想定でしたが、コンビニなど人手不足にあえぐ業界の要望を踏まえ、現在は十数分野まで広げることが想定されています。

人手不足を感じている事業者の方の中には、「外国人を雇用したいが、どこに注意すれば良いのだろう?」とご不安な方もいらっしゃることと思います。実は、外国人を雇用する場合も、社会保険や給与計算などは日本人と同じですので、社内の総務的にはそれほど難しいことではありません。ただし、在留資格には注意が必要です。

そこで、事業者の方が安全に外国人を雇用できるよう、何回かに分けて在留資格について解説します。

そもそも、在留資格とは?

外国人ご本人や外国人を雇用する会社から「ビザを取得したい」、「ビザを更新したい」、「ビザを変更したい」とお問い合わせをいただくことがあります。実は、これらの依頼は在留資格の取得、更新、変更を意味しており、厳密には「在留資格」と「ビザ」は異なるものです。しかし、一般的には、在留資格をビザと呼んでも通用しています。

在留資格とは?

「在留資格」とは、外国人(日本の国籍を有しない者)が日本に入国して一定の活動を行うために必要な資格(法的地位)です。

在留資格一覧表(平成30年8月現在)
(出所)入国管理局ホームページ

入管法(正式名称は「出入国管理及び難民認定法」)は、一在留一在留資格の原則をとっていますので、日本に適法に在留する外国人は、1個の在留資格と1個の在留期間を持っていることになります。

一在留一在留資格の原則

外国人が日本に適法に在留するためには、1個の在留資格と、それに対応する1個の在留期間が決定されること。

ビザ(査証)とは?

在留資格が資格(法的地位)を指すのに対して、ビザ(査証)とは、日本に入国しようとする外国人に対し、外国にある日本の大使館や領事館が、①その者のパスポートが真正で有効であり、②日本への入国と在留に問題がないことを判断した場合に、パスポートに押される印のことをいいます。

このような性質から、ビザは、外国人が持っている旅券(パスポート)が有効であるという「確認」と、ビザに記載された条件により入国することに支障がないという「推薦」の意味を持っています。

 

収入を得て働くことができる在留資格

外国人が日本に滞在できる在留資格の中には、日本で収入を得て働くことが認められるものと、資格外活動許可を得ない限り働くことが認められないものがあります。
万が一、違法に就労活動を行った場合には、その外国人本人に「資格外活動罪」が成立するほか、不法就労させた事業者にも「不法就労助長罪」が成立します。
そのため、外国人を雇うときには、その方が所持している「在留カード」などにより、就労が認められるかどうか確認することが必要です。

就労可能な在留資格 就労不可能な在留資格
「外交」
「公用」
「教授」
「芸術」
「宗教」
「報道」
「高度専門職」
「経営・管理」
「法律・会計業務」
「医療」
「研究」
「教育」
「技術」
「技術・人文知識・国際業務」
「企業内転勤」
「介護」
「興行」
「技能」
「技能実習」
「特定活動」の一部
★「永住者」
★「日本人の配偶者等」
★「永住者の配偶者等」
★「定住者」
★特別永住者
「文化活動」
「短期滞在」
「留学」
「研修」
「家族滞在」
「特定活動の一部」

★印が付いている5つの在留資格は、範囲の制限なく就労することができます。それ以外の在留資格は、入管法が定める一定範囲に限って就労が認められます。

ココに注意

「留学」の在留資格で日本に滞在している外国人は、1週間に28時間まで資格外活動を行うことができます。これは、日本留学中の学費や生活費を補う目的ですので、単純労働のアルバイトも大丈夫です。1週間に28時間以内という制限は、どの曜日から1週の起算をしても28時間以内に収まらなければいけませんので、ご注意ください。

このように、外国人を雇用するときは、まず、どの在留資格を持っているかを確認しましょう。そして、その在留資格でどういう就労が認められるかを確認し、違法とならない範囲で雇用することが大切です。

 

-未分類

Copyright© CALICO LEGAL行政書士事務所 , 2024 All Rights Reserved.