西川 文明
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金沢大学法文学部法学科卒業。石川県庁で定年まで勤めた後に行政書士登録し、CALICO LEGAL行政書士事務所に参画。
財政、高齢者福祉など地方自治体の中心業務を担当してきた経験を活かし、行政手続き専門家としてビザ申請、生活支援等に取り組む。
取材・記事作成:山下柚実
(作家/五感生活研究所代表)
言葉の壁や文化の違いに不安を感じる
依頼者の気持ちを想像しながら、
行政と市民の架け橋になりたい。
40年近く石川県庁で行政マンとしてキャリアを積んできた西川文明氏。
行政書士の仕事について「期限が厳密に設定されていることも多いため、スケジュールを先読みして素早く進めていくことがポイントです」と語ります。
実は西川氏と藤井行政書士は、義理の父と息子という間柄。
日々の仕事や外国人のサポート、藤井行政書士とのコラボレーションについて、感じていること考えていることをお聞ききしました。
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石川県庁職員として30年近く仕事をしてきたということですが、県庁に入った動機をお話いただけますか?
西川
私は石川県の小松市で生まれて育ち、
大学は金沢大学法学部に進みました。
卒業後も両親と同居して地元で暮らすことを考え、
県庁で公務員として働く道を選びました。
石川県の人口は120万人程度と、
さほど大きな県ではありません。
県庁に入ってからわかったのですが、
行政組織そのものも小規模で、
職員は東京都のように一つの部署に長く在籍するのではなく
複数の部署を移動していき、
多岐にわたる行政の仕事を経験することになります。
それが結果としては、行政について
トータルに理解することができよかったなと感じています。
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CALICO LEGAL行政書士事務所に参加することになったのはどんな理由ですか?
西川
県庁を退職した後に、行政書士として登録しました(※1)。
娘の夫である藤井行政書士が「事務所を開業する」と聞いて、
「私にも何かできることがあれば」と思ったのがきっかけです。
もう少し現実的に言うと、娘夫婦に子どもが生まれて、
娘自身も仕事を持っているのでなかなか忙しいため、
孫が保育園へ入る段階で送り迎えなどを手伝う必要性が生じました。
そこで、月に半分ほど東京に滞在し、
孫の世話と行政書士の仕事をしながら
石川の家と東京とを行き来しています。
西川行政書士、大好きな孫と遊ぶ
※1:20年間以上公務員として経験を積むと行政書士の資格を得ることができる。
県庁の仕事を通して
「年齢を重ねた人が活き活きと幸せに暮らす」
というテーマに関心を抱くようになりました
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県庁のお仕事が長かったということですが、
今でも印象に残っていることはありますか?
西川
思い出はたくさんあります。
最初は総務部に配属され、
いわば公務員の仕事の基本や
自治体の組織について学ぶことができました。
その後、福祉、税金、観光、厚生、農林水産、病院管理……と
さまざまな分野に配属されました。
地域も石川県内だけでなく
東京事務所に二度ほど赴任して
旧自治省、総務省とのパイプを作るという仕事に関わりました。
私が県庁にいたのは中西陽一知事の時代ですが、
特に福祉に対しての理解と情熱を持っている知事でした。
例えば「介護慰労金」の制度は石川県が東京都に次いで、
全国2番目に創設したのです。
素早く制度化できたのも中西知事の
「介護する方々のご苦労を慰労したい」という
強い思いがあったからだろうと思います。
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いわば高齢化社会の対策の先取りですね。
西川
そうですね。また、厚生部時代には長寿社会課で
後期高齢者に関わる仕事を経験しました。
「年齢を重ねても地域の中で活き活きと幸せに暮らす」というテーマに、
個人的にも関心を持つようになりました。
石川県の「輪島の朝市」をご存知でしょうか?
輪島の朝市
朝早い時間帯に、日本海の新鮮な海の幸や干物、漬物、漆器などを
お年寄りの方たちが販売し活気があります。
高齢者が実に元気に現役で働いている姿があり、
「まさにこうあって欲しい」と願うような
高齢化社会の実例となっています。
観光地としても魅力のある場所ですし、
県として「輪島の朝市」を積極的にアピールしまして、
今では国内外から多くの観光客が集まる人気の場所になっています。
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石川県は食べ物も美味しそうですが、最近の話題で言えば2020年秋、
金沢に新たな国立工芸館がオープンし行列ができて話題になりました。
西川
そうです、石川県の魅力といえばまずは”食”、
兼六園や茶屋街などの文化的な観光スポット、
そして金箔や木工、塗物などの伝統工芸品などがあげられます。
観光は大きな柱ですが
私が商工部観光課にいた当時は、
まだ北陸新幹線が金沢までは延伸していなかったので
人の流れも関西方面から主でした。
県の魅力を全国的に発信して、
東京方面からも多くの人が訪ねてもらえるようにするにはどうすればよいか、
といろいろ苦心したことを思い出します。
国際化が進む中、
外国人と行政との間を結ぶ行政書士の仕事は
ますます必要とされるはずです
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県庁での仕事経験で今に活かしていることはありますか?
西川
CALICO LEGAL行政書士事務所では
外国人がご依頼者のケースがほとんどですが、
申請の際、「どんな書類が必要か」がすぐに浮かぶという意味でも、
過去の行政マンとしての経験が活かせていると思います。
戸籍や住民票については入口から出口までわかっていますし、
総務部時代には税の仕組みだけでなく、
偶然ですが行政書士の担当もしていましたので、
全てが今の仕事にプラスになっていると思います。
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長年、書類を受け取る側にいらっしゃって、
今は提出する側に立ちながらサポートされているわけですね。
最後に、行政書士の仕事は社会の中でどんな意味あいを持つとお考えですか?
西川
市民と行政との間をとり持つとても意義のある仕事だと思います。
特に外国人の方にとって行政は遠い存在でしょうし、
申請の作業は複雑で一筋縄ではいかないことも多いのです。
言葉の壁、異国での文化の違いなど、
不安を感じることもあるでしょう。
常に申請者の立場になって仕事をすることが大切だと思います。
中でも永住権申請は資格要件、収入、居住場所、納税実績など複雑です。
行政書士としても、単なる仕事として受ける以上の情熱がないと、
なかなか続きません。
藤井行政書士には「外国の方たちが楽しく暮らすお手伝いをしたい」という熱い情熱を感じます。
国際化が進む中、外国人と行政との間を結ぶ行政書士の仕事は益々必要とされるはずですし、
私もできるだけ応援をしたいと思っています。