日本で生活する外国人
私は日本で安心して暮らしていきたいので、将来的に「永住者」になりたいと思っています。
そのために、外国人が注意すべき義務やルールを教えてください。
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外国人も日本に住んでいれば、税金と社会保険(国民健康保険・国民年金)を支払わなければなりません。特に、永住許可申請の審査では、対象期間内に未納や滞納がないことを厳しくチェックされます。あとで後悔しないように、制度を確認してしっかりと支払いましょう。
日本で暮らす外国人の義務
「事前に知っていれば対応したのに・・・」
「知人に大丈夫だと言われたのに・・・」
永住申請の相談のとき、外国人からよく聞く言葉です。
日本で暮らす外国人が見落としがちな”義務”は、次の5つです。
日本で生活する外国人の義務
① 引っ越しをしたら市役所や区役所に届け出る
② 離職や転職をしたら入管に届け出る
③ 給料から天引きされない場合は、自分で「税金」を支払う
④ 会社の社会保険に加入していない人は、自分で「国民健康保険」の保険料を支払う
⑤ 会社の社会保険に加入していない人は、自分で「国民年金」の保険料を支払う
これらの義務をしっかりと守っていないと、永住申請だけでなく、ビザの更新や変更にも影響が出ることもあります。
住所や勤務先の変更時の届出
引っ越しをした場合
引っ越しをしたときは、14日以内に市役所や区役所の窓口に届出が必要です。
区役所や市役所に届出をすれば、入国管理局に届出をしたものとみなされるため、さらに入管に届出を行う必要はありません。
離職や転職をした場合
離職や転職をしたときは、14日以内に入国管理局へ届出が必要です。
入国管理局への届出が必要なケース
・勤務している会社を辞めたとき
・新しい会社に転職したとき
・勤務している会社の名称や所在地が変わったとき
よくある質問
入国管理局への届出は、どうやって行えばよいですか?
入国管理局の「電子届出システム」を使い、インターネットで届出ができます。
来月転職する予定です。届出を忘れないように、前もって届出をすることはできますか?
前もって届出をすることはできません。実際に転職してから14日以内に届出をしてください。
私は派遣社員として働いています。派遣会社は変わりませんが、派遣先の会社が変わりました。届出は必要ですか?
派遣先の会社が変わったときは、届出が必要です。
「税金」の支払い
外国人が日本で収入を得ている場合、「所得税」と「住民税」を納める義務があります。
※ 不動産にかかる「固定資産税」、自動車にかかかる「自動車税」など、他にもいろいろありますが、ここでは収入に関する税金を説明します。
所得税とは?
「所得税」は、国に納める税金です。
会社で働いている人は、会社が給料から差し引いて納めてくれるため、自分で支払う必要はありません。これを「源泉徴収」といいます。
源泉徴収で支払いすぎた税金がある場合は、毎年12月の「年末調整」で精算されます。年末調整は会社がやってくれるので、自分でやる必要はありません。
一方、次のような人は税務署に行き、自分で収入を申告しなければなりません。
自分で税金の申告をしなければならないケース
・自営業やフリーランスとして働いている
・2か所以上の会社から給料をもらっている
・会社の給料以外の収入がある
この税金を申告する手続きを「確定申告」といい、毎年3月15日までに前年度分の収入を申告します。
住民税とは?
「住民税」は、住んでいる市区町村に納める税金です。
前年の所得に基づいて決まった金額を、翌年に支払います。
会社で働いている人は、1年分を分割して、毎月の給料から差し引かれます。自分で支払う必要はありません。
自営業やフリーランスとして働く人は確定申告をすると、毎年6月頃、「住民税を支払って下さい」という手紙(納付書)が届きます。
納付書に書いてある金額を、役所の窓口で支払う必要があります。
よくある質問
今年、日本に来たばかりです。住民税の納付書が届かないのですが、支払わなくても大丈夫でしょうか?
住民税は、前年の所得に基づいて計算された金額を、翌年に支払う仕組みの税金です。
日本に来て1年目は前年の所得がありませんので、住民税を納める必要はありません。2年目から納めてください。
帰国することになりました。住民税はどうなりますか?
住民税は、前年の所得に基づいて計算された金額を、翌年に支払う仕組みの税金です。そのため、帰国した後に支払いが残ることもあります。
帰国するときに支払っていない分は、給料や退職金が全額差し引かれます。それでも支払いが残るときは、出国する前に「納税管理人」(代わりに税金の手続きを行う人)を決める必要があります。
参考:外国人の方の個人住民税について(総務省WEBページ)
「健康保険」への加入
日本に住んでいる人は、外国人であっても健康保険に加入する義務があります。
健康保険とは、公的な医療保険です。健康保険に加入していると、医療費の自己負担は3割程度で済むため、安心して医療を受けることができます。
会社員の場合
勤務先の会社で「健康保険」に加入します。
保険料は、毎月の給料から差し引かれるので、自分で支払う必要はありません。
自営業や無職の場合
国が運営する「国民健康保険」に加入します。
保険料は、請求書が郵送で届いたら、自分で支払う必要があります。
よくある質問
帰国することになりました。健康保険はどうなりますか?
帰国時に健康保険は解約して、未納の保険料があれば精算が必要です。
「年金」への加入
日本に住んでいる20歳以上の人は、外国人であっても年金に加入する義務があります。
会社員の場合
勤務先の会社で「厚生年金」に加入します。
保険料は、毎月の給料から差し引かれるので、自分で支払う必要はありません。
自営業や無職の場合
国が運営する「国民年金」に加入します。
保険料は、請求書が郵送で届いたら、自分で支払う必要があります。
留学生の場合
留学生や収入が少ない人は、支払いを免除できることもあります。これは「学生納付特例」という制度です。
詳しく知りたい人は、役所に相談に行きましょう。
よくある質問
帰国することになりました。これまで支払ってきた年金はどうなりますか?
年金に加入している外国人が帰国するとき、支払った金額の一部が帰ってくることもあります。
また、日本では、年金制度を持つ国と「社会保障協定」を結んでいます。これにより、国籍によっては、日本の年金に入っていた期間を母国の年金に合算して計算できる場合もあります。
日本で長く生活して行きたい方へ
これらの義務をしっかりと果たすことで、日本での生活がより安心なものになります。
義務を果たしていないと、のちのち困る可能性があります。
・留学ビザの更新ができない
・就職が決まったのに、就労ビザに変更できない
・将来的に永住や帰化を許可されない
あとで後悔しないように、わからないことがあれば、専門家や市区町村の窓口で相談しましょう。
SNSなどの外国人コミュニティでは、税金や年金を支払わずに済ます方法が紹介されていることもあります。でも、ルール違反は絶対にやめましょう!
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