こんな方におすすめ
- 高度人材ポイントを使って永住申請をしたい!
- 高度専門職ビザに変更したい!
高度人材ポイントの合計が70点以上をクリアすると、「高度専門職」ビザを取得することができます。
また、高度人材ポイントが70点以上だと3年、80点以上だと1年で、永住申請が可能です。
このように、外国人にとってはメリットの大きい制度ですが、高度人材ポイントを正しく計算することは、意外と難しいです。
当事務所に相談に来る人でも、実務経験年数や年収を正しく計算することで、ポイントの得点が上がるケースがあります。
そこで、この記事では、高度人材ポイントの計算方法をわかりやすく解説します。
自分の高度人材ポイントが何点か?すぐに知りたい方は、以下の「高度人材ポイント計算ツール」をご利用ください。
▼ 高度人材ポイント計算ツール(無料)
[URL]https://calico_legal.com/calculation
※ ポイントの点数は、証明資料などを見ないと正確には把握できません。あくまで、回答者の記入に基づく仮の得点とご理解ください。
高度人材ポイントとは?
制度の目的
学歴、職歴、年収などの項目にポイントを設け、ポイントの合計が一定点数(70点)以上に達した場合に、さまざまな優遇措置を与えることにより、高度に専門的な知識や技術を持つ外国人の受け入れを促進する制度です。
制度の概要
ポイント制により優遇措置が得られる高度外国人材には、次の3つの類型があります。
- 高度専門職1号(イ):高度学術研究活動
日本の大学などで研究・教育活動を行う場合 - 高度専門職1号(ロ):高度専門・技術活動
日本の会社などで専門的な知識・技術を活かして働く場合 - 高度専門職1号(ハ):高度経営・管理活動
日本の会社の経営(社長)や経営管理(部長など)を行う場合
それぞれの類型により、ポイント計算の基準が変わります。
この記事では、最も申請数が多い「高度専門職1号(ロ)」のポイント計算の方法について、わかりやすく解説します。
Mission01:「学歴」のポイントを計算せよ!
最終学歴により、ポイントを獲得することができます。母国の大学でも、日本の大学でも、どちらでもOKです。
最終学歴 | 取得ポイント |
博士 | 30 点 |
修士(MBA / MOT) | 25 点 |
修士(それ以外) | 20 点 |
大学卒業 | 10 点 |
<加算>
さらに以下の条件に当てはまると、得点を加算することができます。
複数分野の博士・修士を持っている | 5 点 |
① 大学ランキング300位以内の大学・大学院を卒業 ▼ 該当する大学リスト [PDF] |
10 点 |
② スーパーグローバル大学(文部科学省)として指定されている大学を卒業 ▼ 該当する大学リスト [PDF] |
|
③ イノベーティブ・アジア事業(外務省)のパートナー大学を卒業 ▼ 該当する大学リスト [PDF] |
日本の大学・大学院を卒業した場合、②スーパーグローバル大学に該当する場合が、比較的高いです。自分の出身大学が該当するかわからない方は、お問い合わせください。
<よくある質問>
Answer
はい、学歴ポイントの対象となり、10点をもらうことができます。
他方、専門学校を卒業した場合(専門士)は対象となりません。
Answer
いいえ、加算をもらうことはできません。
この加算は、修士、または、博士を複数の分野で取得した場合だけです。
「学歴」に関するポイントは以上です。ここまでの得点を計算してみてください!
Mission02:「職歴」のポイントを計算せよ!
過去の実務経験の年数に応じて、ポイントを獲得することができます。母国での職歴も、日本での職歴も、どちらも含めることができます。
実務経験の年数 | 取得ポイント |
10年以上 | 20 点 |
7年以上~10年未満 | 15 点 |
5年以上~7年未満 | 10 点 |
3年以上~5年未満 | 5 点 |
2年以下 | 0 点 |
実務経験は、申請時点の業務と同じ内容の業務に従事している年数に限られます。別の業務に従事していた年数を加算することはできないので、ご注意ください。
<よくある質問>
Answer
はい、現在の仕事と同じ内容であれば、母国での職歴も年数に入れることができます。
ただし、そのことを証明する資料を提出する必要があります。
Answer
職歴の点数を加算するためには、次の3点が記載されている資料が必要です。
(1) 在籍期間(いつからいつまで、その会社で働いていたか)
(2) 業務内容(どのような仕事を担当していたか)
(3) 会社が発行した資料であること
過去の職歴(特に来日前の母国での職歴)は、証明資料の取得が困難なケースがあります。
そのときは、集めることが可能な資料で、「入社日」と「退社日」と「業務内容」を証明します。
<資料の例>
・在職証明書
・オファーレター
・雇用契約書(労働条件通知書)
・離職証明書(退職証明書)
・在職時の給与明細 など
「職歴」に関するポイントは以上です。ここまでの得点を計算してみてください!
Mission03:「年収」のポイントを計算せよ!
勤務先の会社から支払われる年収額により、ポイントを獲得することができます。
年齢により、年収額の基準が変わりますので、ご注意ください。
年収額 | 29歳以下 | 30歳~34歳 | 35歳~39歳 | 40歳以上 |
1,000万円以上 | 40 点 | 40 点 | 40 点 | 40 点 |
900万円~ | 35 点 | 35 点 | 35 点 | 35 点 |
800万円~ | 30 点 | 30 点 | 30 点 | 30 点 |
700万円~ | 25 点 | 25 点 | 25 点 | 0 点 |
600万円~ | 20 点 | 20 点 | 20 点 | 0 点 |
500万円~ | 15 点 | 15 点 | 0 点 | 0 点 |
400万円~ | 10 点 | 0 点 | 0 点 | 0 点 |
300万円~ | 0 点 | 0 点 | 0 点 | 0 点 |
300万円未満 | 申請不可 | 申請不可 | 申請不可 | 申請不可 |
ポイント数をクリアしても、年収300万円未満は「高度専門職」とは認められません。
<よくある質問>
Answer
年収の計算に含めることができるものは、仕事をした対価として支払われる報酬です。
交通費や住宅費などの実費を支給されるものは、含むことができません。
支給の名目 | 含まれるかどうか |
基本給 | 〇 |
勤勉手当 | 〇 |
調整手当 | 〇 |
通勤手当 | × |
扶養手当 | × |
住宅手当(課税対象の場合) | 〇 |
賞与(ボーナス) | 〇 |
※ 課税対象となる手当は、年収の計算に含むことができます。
Answer
申請時点の年収には、残業代を含めることができません。
なぜなら、申請時点から1年後までの年収を計算するとき、将来にどの程度の残業が発生するか、わからないからです。
他方、高度人材として永住申請を行う場合の、1年前の年収や3年前の年収には、含めることができます。
なぜなら、過去の収入については、残業が発生したことが明らかだからです。
Answer
高度人材ポイントを計算するときの年収は、申請時点を基準とする1年間で計算することができます。
たとえば、2022年3月に申請をする場合、次のようになります。
(例)2022年3月に申請する場合
・収入見込額を証明する期間:2022年4月~2023年3月
・直近1年間の年収を証明する期間:2021年4月~2022年3月
そのため、課税証明書(毎年1月から12月までの年収額を記載)では、年収額を証明できないことがあります。
Answer
基本的には、次のどちらかの資料を提出して、証明することが多いです。
・住民税の課税証明書
・会社が発行する「源泉徴収票」
しかし、これらの資料は、1月から12月までを1年として作成されます。そのため、昇給や賞与などによる年収の変化を正確に反映できないことがあります。そのような場合は、会社が発行する「給与明細」などで証明することも可能です。
Answer
次のケースでは、海外の会社から得ている報酬も「年収」に含めることができます。
・外国の会社から転勤で日本の会社に来た場合
・勤務する日本の会社と親子会社などの関係がある外国の会社から支払われる場合
Mission04:「年齢」のポイントを計算せよ!
申請時点での年齢により、ポイントを獲得することができます。
年 齢 | 取得ポイント |
30歳未満 | 15 点 |
30~34歳 | 10 点 |
35~39歳 | 5 点 |
40歳以上 | 0 点 |
得点の境目となる年齢(30歳・35歳・40歳)では、誕生日を過ぎたかどうかで大きく点数が変わることがあります。ご注意ください。
<得点が大きく変わる具体例>
2022年3月に申請する場合(誕生日前)
年収:20点(600万円~)
年齢:5点(35~39歳)
2022年4月に申請する場合(誕生日後)
年収:0点(600万円~)
年齢:0点(40歳以上)
わずか1ヶ月の違いですが、このケースでは、40歳を過ぎるかどうかで「25点」変わります。
高度人材ポイントを使って永住申請をしようと考えている方は、ご注意ください。
Mission05:「研究実績」のポイント計算せよ!
研究者の方は、研究実績によりポイントを獲得することができます。
基 準 | 取得ポイント |
発明者として特許を受けた発明が1件以上ある | 15 点 |
外国政府から補助金などの資金を受けて研究をしたことが3回以上ある | |
学術論文データベースに搭載されている学術雑誌に掲載された論文が3本以上ある | |
その他、顕著な研究実績がある |
<よくある質問>
Answer
学術論文データベースとは、世界の学術論文を収集しているデータベースです。トムソン・ロイター社(本社:カナダ)やエルゼビア社(本社:オランダ)のものなどがあります。
出入国在留管理庁では、エルゼビア(Elsevier)社の「サイバース・スコーパス(SciVerse Scopus)」という学術論文データベースを使っています。
Mission06:「資格」のポイントを計算せよ!
業務に関する資格を持っている場合、ポイントを獲得することができます。
基 準 | 取得ポイント |
仕事に関連する日本の国家資格を持っている | 5 点 |
仕事に関連するIT資格を持っている | |
仕事に関連する外国の資格を持っている | 10 点 |
<よくある質問>
Answer
高度人材ポイントの対象となるのは、「業務独占資格」と「名称独占資格」です。弁護士、公認会計士、税理士、医師などが該当します。
資格を持っているだけではなく、申請時点の仕事で実際に使っていることが求められます。
「業務独占資格」と「名称独占資格」については、わかりやすく説明した政府機関のWEBページがないため、Wikipediaのリンクを貼ります。
業務独占資格:Wikipediaページのリンク
名称独占資格:Wikipediaページのリンク
Answer
「IT告示」という資料に掲載されている情報処理技術に関する資格が対象となります。
▼ IT告示(出入国在留管理庁ホームページ)
https://www.moj.go.jp/isa/laws/nyukan_hourei_h09.html
※ IT告示(正式名称:「出入国管理及び難民認定法第7条第1項第2号の基準を定める省令の技術及び特定活動の在留資格に係る基準の特例を定める件(平成25年法務省告示第437号))
Answer
米国公認会計士、外国弁護士などが対象となります。
具体的には、以下のリストを見てください。
▼ 外国の資格・表彰等一覧
https://www.moj.go.jp/isa/content/930001661.pdf
(出典)出入国在留管理庁ホームページ
Mission07:「契約機関」のポイントを計算せよ!
外国人が勤務している会社(=契約機関)が条件を満たすことで、ポイントを獲得することができます。
ここでの得点獲得はケースとしては、多くありません。しかし、「あと5点あれば高度人材に該当するのに...!」というとき、助けになることもありますので、点数が少し足りない方は、念のため丁寧にご確認ください。
年齢 | 取得ポイント |
イノベーション促進支援措置を受けている(大企業) | 10 点 |
イノベーション促進支援措置を受けている(中小企業) | 20 点 |
国家戦略特別区域高度人材外国人受入促進事業の対象企業 | 10 点 |
試験研究費等比率が3%以上の中小企業 | 5 点 |
<よくある質問>
Answer
法務省が定める、日本の各省庁が取り組む先端的なプロジェクトのことです。
具体的には、以下のリストを見てください。
▼ イノベーション促進措置一覧
https://www.moj.go.jp/isa/content/930001665.pdf
※ 法務省告示別表第1及び別表第2をご覧ください。
(出典)出入国在留管理庁ホームページ
Answer
中小企業にあたるかどうかは、業種ごとに基準が違います。
以下の表に記載の「資本金」、または、「従業員数」の、どちらかの基準に該当すれば、「中小企業」といえます。
会社でも個人事業主でも、基準に該当すればOKです。
資本金 | 従業員数 | |
① 製造業 | 3億円以下 | 300人以下 |
② 卸売業 | 1億円以下 | 100人以下 |
③ 小売業 | 5,000万円以下 | 50人以下 |
④ サービス業 | 5,000万円以下 | 100人以下 |
※ 会社でも個人事業主でも、基準に該当すればOKです。
Answer
わかりやすく言うと、売上の3%以上を研究開発費に投資しているという意味です。
申請の前年度の「決算書」や「有価証券報告書」などで証明します。
Mission08:「日本語能力」のポイントを計算せよ!
日本の大学・大学院を卒業している場合や、高い日本語能力がある場合は、ポイントを獲得することができます。
基 準 | 取得ポイント |
日本の大学・大学院を卒業 | 10 点 |
基 準 | 取得ポイント |
日本語専攻の外国の大学を卒業 | 15 点 |
日本語能力試験N1(1級)合格 | |
日本語能力試験N2(2級)合格 | 10 点 |
「学歴」で「日本の大学・大学院を卒業」で10点を獲得している場合、N1合格者は重複して加算できますが、N2合格者は重複して加算ができません。
(例)
日本の大学を卒業、かつ、N1合格 ⇒ 25点
日本の大学を卒業、かつ、N2合格 ⇒ 10点
Mission07:その他の「特別加算」のポイントを計算せよ!
そのほか、以下の基準に該当する場合、ポイントを獲得することができます。
基 準 | 取得ポイント |
日本政府が関与する成長分野の先端プロジェクトに従事している | 10 点 |
JICAが実施する研修を修了した | 5 点 |
投資運用に関する業務に従事している | 10 点 |
<よくある質問>
Answer
IoTや再生医療などの成長分野に関する、日本政府が関与しているプロジェクトが対象となります。
具体的には、出入国在留管理庁が公表している、以下のリストを見てください。
▼ 将来において成長発展が期待される分野の先端的な事業名(令和3年9月)
https://www.moj.go.jp/isa/content/930001664.pdf
(出典)出入国在留管理庁ホームページ
Answer
次のような業務が該当します。
・第二金融商品取引業(金融商品取引法第28条第2項)
・投資助言・代理業(金融商品取引法第28条第3項)
・投資運用業(金融商品取引法第28条第4項)
最後に:自分の高度人材ポイントを知りたい方へ
「高度専門職ビザ」や「永住者ビザ」を目指す人にとtって、自分の高度人材ポイントを正確に知っておくことは、とても重要です。
しかし、ポイント計算の項目の中には複雑なものもあります。また、高度人材ポイントの計算に詳しい専門家も少ないです。
そこで、当事務所では、日本で暮らす外国人の方にとって不利益とならないよう、無料で高度人材ポイントの計算を行っています。
外国人の方たちのお役に立てるよう、ポイント計算やそれに伴う相談は無料で行っておりますため、申請を専門家に依頼する際は、選んでいただけましたら幸いです。
▼ 高度人材ポイント計算ツール(無料)
[URL]https://calico_legal.com/calculation
※ ポイントの点数は、証明資料などを見ないと正確には把握できません。あくまで、回答者の記入に基づく仮の得点とご理解ください。
▼ 永住申請について知りたい方は、こちらの動画をご覧ください。