ビザ申請のトリセツ

飲食店の外国人雇用|特定技能外国人の生活支援のポイント

2019年9月21日

2019年4月に新設された在留資格「特定技能」(特定技能ビザ)も、運用開始から約半年が経ち、少しづつ全体像が見えてきました。先週、外食業分野の技能測定試験について、今後のスケジュールが公表され、2019年度中(2020年3月まで)におよそ7,000人の合格者が出ることが明らかになりました。

当事務所にも、外国人材の採用に関心のある飲食店経営者の方や、飲食店で働きたい外国人本人からの相談が増えています。特に、「特定技能外国人への生活支援って、誰が何をすればいいの?」ということに不安を持たれている方が多いです。

この記事では、飲食店が特定技能ビザで外国人を採用する場合、どういう生活支援をしなくてはならないか?について解説します。

【参考】飲食店の特定技能ビザ申請についてはこちらの記事をご覧ください。

飲食店の外国人材雇用|外食業分野の「特定技能」ビザ申請

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特定技能外国人の採用から勤務開始までの流れ

まず、特定技能外国人の採用から勤務開始までの流れをご確認ください。

上記の図の中で、生活支援に関することとして、次の4つが必要となります。

特定技能外国人の生活支援

① 事前ガイダンス
② 特定技能外国人支援計画策定
③ 生活オリエンテーション
④ 勤務開始後の継続的な生活支援

 

飲食店で特定技能外国人を採用する3つのパターン

飲食店で外国人材を「特定技能」ビザで雇用するケースは、次の3つのパターンがあります。

特定技能外国人の採用パターン

① すでにアルバイト等で働いている外国人(留学生、家族滞在 etc.)を雇用する
② 日本に滞在している外国人を雇用する
③ 海外にいる外国人を呼び寄せる

当面の間、一番多いのは①のパターンだと予想します。当事務所にご相談いただいたケースでも、店長さんが「アルバイトとして働いている外国人の方に卒業後も働いて欲しい」という願いから、技能測定試験の対策まで一緒にやったという飲食店もあります。

すでに日本に数年間滞在していて日本語も堪能な外国人の方に対しては、「基礎的な生活支援(空港への送り迎え、住居の確保、税金・社会保険などの説明、ゴミの捨て方を教える...etc.)はいらないのではないか?」とお感じになる方もいらっしゃいます。しかし、法令で定められているため、特定技能ビザで外国人を雇用するためには、実質的には不要でも、決められた支援を行うことと支援体制を作ることは必須とお考えください。

 

特定技能外国人の生活支援は誰がやるの?

特定技能外国人の生活支援は、外国人を雇用する企業が自社で行うこともできますし、それが難しい場合は登録支援機関に委託することもできます。

特定技能外国人の生活支援を行う主体

① 外国人を受け入れる企業が自社で行う
② 登録支援機関に委託する

登録支援機関を探される方は、以下リンク先の法務省ホームページに掲載されている「登録支援機関登録簿」をご覧ください。
当事務所も「19登-000017」(リストの17番目)に記載されています。

登録支援機関に委託する場合は、委託費用がかかります。まだ市場が成熟していないため相場のようなものはありませんが、サービス提供をしようとしている登録支援機関のホームページ等から分析すると、特定技能外国人1人につき月額2万円~3万円程度、そのほか、事前ガイダンス、生活オリエンテーションなどの費用が別途かかるような価格設定をしているようです(2019年9月現在)。

これらの支援費用については会社負担とし、外国人本人に負担させてはならないことが定められています。また、特定技能外国人の給与は、同じ仕事をしている日本人と同額以上でなければならないことも定められています。この2つのルールから考えると、特定技能外国人を雇う場合の人件費を総額で見ると、日本人を雇う場合よりも高額となることが想定されます。

 

特定技能外国人の生活支援を自社で行えるの?

飲食店の経営者の方の立場に立つと、上記の採用パターンのうち、「① すでにアルバイト等で働いている外国人(留学生、家族滞在 etc.)を雇用する」、または「② 日本に滞在している外国人を雇用する」の場合、外国人本人が日本での生活に慣れているため、自社で生活支援を行うことでコストを抑えたいと考える方が多いと思います。

その場合、実質的には社長や店長が支援できるとしても、法令により次の条件を満たす「支援責任者」と「支援担当者」を置くことが求められます。この2つは1人の人が兼任することも可能です。それぞれの条件をご確認ください。

条 件
支援責任者 外国人を雇用する会社(個人事業者)の役職員であること
過去2年間に中長期在留者の生活相談業務に従事した経験があること
支援担当者 外国人を雇用する会社(個人事業者)の役職員であること
常勤であること
過去2年間に中長期在留者の生活相談業務に従事した経験があること

飲食店の場合、「過去2年間に中長期在留者の生活相談業務に従事した経験があること」という条件をどうやったら満たせるかが気になります。文字通りの生活支援業務を行っていなくても、たとえば、過去2年間に調理師を技能ビザで雇用している、通訳や事務職として技術・人文知識・国際業務ビザの外国人を雇用しているなどのケースであれば、これに該当する可能性があります。

また、制度の趣旨から、支援責任者・支援担当者は会社と特定技能外国人のどちらに対しても中立的な立場が求められるため、直属の上司など業務ラインに入る者は好ましくないと考えられます。この点について、東京入国管理局の担当部門に確認したところ、自社で生活支援を行うことができる会社とは、中立的立場の支援責任者・支援担当者を配置できる従業員数100名以上くらいの規模を想定しているようです。
小規模店舗などで特定技能外国人を雇用しようと考えている方は、ビザ申請の添付書類の中で、支援体制の説明を詳しく記載すると良いと思います。ご不安があれば、ご相談ください。

 

特定技能外国人の生活支援ってどんなことをするの?

外国人を雇用する企業、または、登録支援機関が行う「事前ガイダンス」、「生活オリエンテーション」、勤務開始後の継続的な生活支援の内容について、説明します。

事前ガイダンス

事前ガイダンスは、特定技能外国人との雇用契約を締結した後、特定技能ビザ申請の手続きの前に行います。文書やメールでの実施はNGとされていますので、日本にいる外国人を採用する場合は面談、海外にいる外国人を呼び寄せる場合はSkypeなどのテレビ電話で行うことが想定されます。
使用する言語は「外国人が十分に理解することができる言語」と定められています。母国語以外の言語で実施する場合は、外国人がその言語を理解できているという疎明資料を添付しましょう。

事前ガイダンスで伝える情報(義務)

□ 外国人が従事する業務内容、報酬額、その他の労働条件
□ 特定技能ビザで行うことが出来る活動内容
□ 入国手続き、在留カードの受領の仕方など
□ 保証金・違約金等の契約をしていないことの確認
□ 本国の送出機関等への支払費用・内訳の確認
□ 受入機関が生活支援に関する費用を負担すること
□ 入国時の送迎を行うこと
□ 住居の確保に関する支援の内容
□ 生活に関する相談・苦情の受入体制
□ 支援担当者の氏名・連絡先

事前ガイダンスで伝える情報(任意)

□ 入国時の日本の気候、服装
□ 本国から持参すべき物
□ 本国から持参してはならない物
□ 当面必要となる金額と用途
□ 受入機関から支給される物(制服の貸与など)

【まとめ】特定技能外国人の生活支援:事前ガイダンス

 

生活オリエンテーション

生活オリエンテーションは、特定技能外国人が入国した後、遅滞なく行います。すでに日本に滞在している外国人の場合は、特定技能ビザの申請が許可された後、遅滞なく行えばよいと思います。日本に入国した後に行うため、いずれの場合でも対面で行うことが必要です。また、8時間以上行うことが求められています。
使用する言語は「外国人が十分に理解することができる言語」と定められています。母国語以外の言語で実施する場合は、外国人がその言語を理解できているという疎明資料を添付しましょう。

生活オリエンテーションで伝える情報(義務)

□ 生活一般に関する事項
□ 相談・苦情の申出に関する事項
□ 防災・防犯に関する事項
□ 行政機関の届出に関する事項
□ 医療機関に関する事項
□ 法令違反に関する事項

各国目の具体的な内容については、下記の図をご覧ください。

【まとめ】特定技能外国人の生活支援:生活オリエンテーション

 

勤務開始後の継続的な生活支援

勤務開始後は、生活支援を継続的に行うことが求められます。

勤務開始後の継続的な生活支援(義務)

① 出入国する際の送迎
② 住居確保の支援
③ 生活に必要な契約の支援
④ 日本語学習の機会の提供
⑤ 相談・苦情への対応
⑥ 日本人との交流促進の支援
⑦ 人員整理等の場合の転職支援
⑧ 定期的な面談
⑨ 行政機関への通報

各国目の具体的な内容については、下記の図をご覧ください。

【まとめ】特定技能外国人の生活支援:勤務開始後の継続的な生活支援

 

当事務所が登録支援機関になった理由

当事務所は、登録支援機関(19登-000017)に登録しています。全国で17番目、東京都内の行政書士事務所では一番早く登録しました。
その理由は、技能実習の管理団体や人材紹介業を営む会社など、大手の登録支援機関による支援の行き届かない外国人の方の助けになりたいと思ったからです。

飲食店の場合、すでにアルバイトとして働いている留学生、友人・知人の外国人の方など、人間関係がある方に働いて欲しいというケースが考えられます。そのとき、本人が日本語と技能の試験に受かったけれど、「登録支援機関が見つからない」、「支援委託費が高額すぎる」などの理由で雇用を実現できないとなると、とても残念です。

特定技能ビザのことで分からないことがある方は、飲食店の方でも、外国人ご本人でも、お気軽にご相談ください。ビザ申請や生活支援を委託する場合の見積もりにつきましても、ご希望をうかがって丁寧に回答いたします。

 

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