国内の外国人労働者の総数は2008年頃から徐々に増加し、ここ5年ほどで伸び率はさらに高くなっています。
就労可能な在留資格を持つ外国人は日本で働くことができ、不法就労は法律により禁止されている行為です。不法就労した外国人だけではなく、不法就労させた事業主も処罰の対象となります。
外国人を雇用する際に確認すべきことは?
外国人が日本で出来る活動は、在留資格の範囲内に限られています。事業主は外国人を雇い入れる際に、在留資格や在留期間を確認し、就労が認められるかどうかを把握する必要があります。
外国人の在留資格と在留期間は、「在留カード」によって確認することができます。在留カードは、3カ月を超える在留資格を持つ外国人に対して、法務大臣が交付します。3カ月以下の短期滞在、観光目的で入国している人や一時滞在する人、不法滞在者などには交付されません。
在留カードには、氏名、生年月日、性別、国籍・地域、住居地、在留資格、在留期間、就労の可否などが記載されています。在留カードを持つ外国人が16歳以上である場合には、顔写真が貼付けられます。
外国人を雇用する際には、まず最初に、在留カードを確認しましょう。
(出所)入国管理局ホームページ
就労が認められる在留資格と認められない在留資格
在留資格は28種類(2018年8月現在)ありますが、大きく2つに分類することができます。
ひとつは、外国人が日本で行う活動について類型化した「活動類型資格」。もうひとつは、外国人が日本で活動を行う根拠となる身分や地位を類型化した「地位等類型資格」です。
地位等類型資格に該当する在留資格を持つ外国人は、どのような仕事でも無制限に就労することが可能です。他方、活動類型資格に該当する在留資格には、就労することができる在留資格と、就労することができない在留資格があります。
以下、具体的な在留資格について説明します。
①活動類型資格(就労可能)
在留資格 | 具体例 |
外交 | 外国政府の大使、公使、総領事、代表団構成員等およびその家族 |
公用 | 外国政府の大使館や領事館の職員およびその家族 国際機関等殻公の用務で派遣される者及びその家族 |
教授 | 大学教授や高等専門学校の研究・教育活動にあたる者 |
芸術 | 作曲家、画家、作家等 |
宗教 | 外国の宗教団体から派遣される宣教師等 |
報道 | 外国の報道機関の記者、カメラマン等 |
高度専門職 | ポイント制による高度人材 |
経営・管理 | 企業の経営者や管理者 |
法律・会計業務 | 弁護士・公認会計士等 |
医療 | 医師、歯科医師、看護師等 |
研究 | 政府関係機関や企業等の研究者 |
教育 | 高等学校・中学校等の語学教師等 |
技術・人文知識・国際業務 | 機械工学等の技術者、通訳、語学講師、デザイナー |
企業内転勤 | 外国事業所からの転勤者で、活動は技術や人文知識・国際業務に掲げるものに限る |
介護 | 介護福祉士 |
興行 | 俳優、歌手、ダンサー、プロスポーツ選手等 |
技能 | 外国料理の調理師、スポーツ指導者、航空機等の操縦者、貴金属等の加工職人等 |
特定活動 | ワーキングホリデー、技能実習生等 |
②活動類型資格(就労不可能)
在留資格 | 具体例 |
文化活動 | 日本文化の研究者等 |
短期滞在 | 観光客、スポーツや会議の参加者、保養、短期の親族訪問等 |
留学 | 本邦(わが国)の大学、短期大学、高等専門学校、高等学校、中学校および小学校等の学生・生徒 |
研修 | 研修生 |
家族滞在 | 在留外国人が扶養する配偶者・子 |
留学や家族滞在の在留資格をもって在留する外国人が、アルバイト等の就労を行う場合は、地方入国管理局で資格外活動の許可を得る必要があります。資格外活動の許可を得ることができれば、原則1週間に28時間までの就労が可能となります。
③地位等類型資格
在留資格 | 具体例 |
永住者 | 法務大臣から永住の許可を受けた者(入管特例法の「特別永住者」を除く) |
日本人の配偶者等 | 日本人の配偶者・子・特別養子 |
永住者の配偶者等 | 永住者・特別永住者の配偶者及び本邦で出生し引き続き在留している子 |
定住者 | 第三国定住難民、日系3世、中国残留邦人等 |
在留資格とビザの違い
一般的に、外国人が日本に滞在する資格のことを「ビザ」と言っていますが、実は、入管法で規定されている「在留資格」と「ビザ」は別物です。
正確な意味での「ビザ(査証)」とは、海外在住の外国人が自国の日本大使館・領事館に日本への入国を申請し、日本の外務省が承認した場合に、証明書として本人のパスポートに貼られる文書のことです。
外国人は日本に入国するとき、到着した空港で入国審査官に「ビザ」を提示して上陸の審査を受け、許可されると「在留資格」と「在留期間」が与えられます。