日本で働く外国人労働者の数は、ここ数年急速に増加しています。少子高齢化が進み人材不足が深刻化している今、外国人労働者に対するニーズはますます高まっています。
外国人採用を考えているけれどビザの申請が心配だという方、就労ビザ取得のためにおさえておきたいポイントについて説明します。
外国人雇用に必要な就労ビザとは
外国人が日本国内で報酬を得て仕事をするときや、日本国内に90日以上滞在するときに必要なのが「ビザ」です。特に就労を目的とするビザのことを「就労ビザ」と呼びます。就労ビザには18種類あります。
ビザの種類 | 具体的なケース |
教授 | 大学教授や高等専門学校の研究・教育活動にあたる者 |
芸術 | 作家、作曲家、写真家、画家や彫刻家など芸術に関わる者 |
宗教 | 僧侶、外国の宗教団体から派遣される宣教師等、宗教に関わる者 |
報道 | アナウンサー、新聞記者、カメラマン、編集者等のマスメディアに関わる者 |
高度専門職 | 高度外国人人材(法務省が指定するポイント制評価で一定の値を越える者) |
経営・管理 | 企業の経営者や役員、取締役など |
法律・会計業務 | 弁護士・会計士、税理士等で、日本の資格を有する者 |
医療 | 医師、歯科医師、看護師、薬剤師、療法士等、医療現場に関わり日本の資格を有する者 |
研究 | 研究所に属する研究者、調査員、政府関係機関や企業等の研究者 |
教育 | 学校教員やそれに準ずる学校での語学教育に携わる者 |
技術・人文知識・国際業務 | IT技術者、機械工学技術者など理系専門職、企画、会計、法務などの文系専門職、または、外国語教師、通訳、デザイナーなど外国人特有の能力を活かせる業務に関わる者 |
企業内転勤 | 外国事業所からの転勤者で、活動は技術や人文知識・国際業務に掲げるものに限る |
興行 | 俳優、歌手、ダンサー、プロスポーツ選手等 |
技能 | 外国料理の調理師、スポーツ指導者、航空機等の操縦者、貴金属等の加工職人等、特殊な分野において熟練した技能が必要な職種に携わる者 |
介護 | 介護福祉士の資格を有する介護士等 |
特定技能 | 特定産業分野に属する相当程度の知識または経験を必要とする技能/熟練した技能を要する産業に従事する者 |
技能実習 | 受け入れ企業と雇用関係を結び、技術や技能を学ぶために一定の期間、日本に滞在している技能実習生 |
また、条件付きで就労が認められる「特定活動ビザ」というものもあります。ワーキングホリデーや報酬と伴うインターンシップなどが、これに当たります。
就労ビザは1人1種類のみ取得することができます。また、就労ビザ取得時の申請内容によって日本での就労活動が制限されます。活動内容の変更を希望する場合は、ビザの変更が必要となります。
外国人雇用の際には入国管理局への就労ビザの申請が必要
ビザを取得するには、ビザの許可を出している入国管理局へ必要書類を提出し手続きを行う必要があります。
入国管理局の管轄
入国管理局は8つの本局(東京・名古屋・大阪・福岡・札幌・川内・広島・高松)、出張所が全国にあり、管轄内であれば本局でも出張所でも申請を行うことができます。
外国人を海外から呼び寄せる場合
外国人を海外から呼び寄せ雇用する場合は、会社の所在地を管轄する入国管理局で申請をします。
東京で採用を決定し勤務地が他の都市といった場合にも、申請書にサインした担当者(法定代理人)がいる場所での申請になります。
日本に滞在している外国人を雇用する場合
留学生の雇用や国内で就労している外国人が転職する際の申請は、外国人本人の居住地を管轄する入国管理局で申請をすることになります。
たとえば、新卒の留学生を雇用する場合、外国人が大阪在住であり東京勤務となった時など、申請先は大阪の入国管理局となるので注意が必要です。
外国人雇用のことなら任せて安心!行政書士が代行する就労ビザ取得
海外にいる外国人が日本で就労するビザを取得するためには、「在留資格認定証明書交付申請」という手続きを行います。
申請に必要な書類は企業の規模によって変わり、上場企業のような大きな企業では簡略化されます。多くの中小企業が該当するカテゴリー3では、次の資料が必要です。
就労ビザの申請に必要な書類
=本人が準備する書類=
在留資格認定証明書交付申請書
顔写真(縦4cm×横3cm)
履歴書
パスポート
出身大学(専門学校)の卒業証明書・成績証明書
=会社が準備する書類=
雇用契約書
雇用理由書・職務内容説明書
前年分の職員の給与所得の源泉徴収票等の法定調書合計表
直近年度の決算書のコピー
登記事項証明書
会社案内
※ 入国管理局の審査の過程において、上記以外の資料が求められることがあります。
※ 提出資料が外国語で作成されている場合は、日本語訳の添付が必要です。
※ 提出資料は原則として返却されませんので、再入手が困難な資料についてはご相談ください。
このように、手続きの際には、雇用する企業と採用された外国人本人で手分けして必要な書類をそろえることになります。
就労ビザにはさまざまな種類があり、申請時に必要な書類もそれぞれ異なりますので、行政書士等のビザ申請の専門家に依頼する会社も多いです。
また、2019年4月施行の改正出入国管理法で創設された新たな在留資格が「特定技能」です。これにより、建設、製造、介護、宿泊、外食など、人手不足が深刻な分野で、外国人による単純労働者の受け入れを認める制度がスタートします。
就労が認められる在留資格の技能水準
(出所)在留資格「特定技能」について, 出入国在留管理庁, 平成31年4月
より多くの外国の方が日本で就労する機会や、国内でさらにキャリアを積むための選択肢が増えるといえます。
外国の方の就労、外国人の雇用についてお困りの際にはお気軽にご連絡ください。