ビザ申請のトリセツ

特定技能ビザで変わる飲食店の外国人雇用

2019年3月13日

2019年4月の入管法改正により新設される在留資格「特定技能」(特定技能ビザ)により、飲食店の外国人雇用が大きく変わります。

これまで、外国人が正社員として飲食店で働く道は、次の2つでした。

①外国料理の調理師として「技能」ビザを取得する
②事務系の業務について「技術・人文知識・国際業務」ビザを取得する

接客、掃除、調理補助などの単純作業的な仕事では就労ビザを取ることができないため、多くの飲食店が外国人留学生をアルバイトとして雇用することで人手不足に対応してきました。

新設される「特定技能」ビザにより、外国人が正社員として単純作業的な業務にも就労するできるようになります。たとえば、留学生や家族滞在で日本にいる外国人が、アルバイト先のレストランやカフェで正社員として働く道が開けるのです。

【参考】飲食店の「特定技能」ビザに関する最新情報は、こちらの記事をご覧ください。

飲食店の外国人材雇用|外食業分野の「特定技能」ビザ申請

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飲食店の外国人雇用|特定技能外国人の生活支援のポイント

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飲食業界における外国人材の受入れ状況

飲食業で働く外国人労働者は、約14万3,000人います。その内訳を在留資格別に見ると、次のようになります。

【図】飲食業界で働く外国人材の在留資格別の構成比

具体例

資格外活動:留学生、家族滞在など
身分に基づく在留資格:永住者など
専門的・技術的分野:外国料理の調理師など
特定活動:日本料理海外普及人材育成事業など
技能実習:外食企業のセントラルキッチンで働くケースなど

(出所)厚生労働省「外国人雇用状況」の届出状況まとめ(平成29年10月末現在)を基に当事務所で作成

このことから、飲食店で働く外国人の約7割が「資格外活動」でアルバイトをする留学生であることが分かります。

 

特定技能(外食業)の対象となる業種・業務

特定技能(外食業)の対象となる業種

特定技能の対象となる業種は、日本標準産業分類の「飲食店」、「持ち帰り・配達飲食サービス業」に該当する事業者が行う業務です。
たとえば、食堂、レストラン、料理店、喫茶店、ファーストフード店、テイクアウト専門店、宅配専門店、仕出し料理店などが該当します。

1号特定技能(外食業)外国人の対象となる業務

1号特定技能(外食業)の外国人は、調理、接客、店舗管理、原料の調達・受入れ、配達作業など、飲食店のほぼ全ての業務に従事することができます。

 

1号特定技能(外食業)を申請するための条件

1号特定技能(外食業)の在留資格を申請するためには、次の2つの試験の両方に合格することが必要です。

① 技能:「外食業技能測定試験(仮称)」
② 日本語能力:国際交流基金日本語基礎テストまたは「日本語能力試験(N4以上)」

また、2018年11月16日に職種追加された「医療・福祉施設給食製造」の第2号技能実習を修了した人は試験を受けなくても申請することができます。

「外食業技能測定試験(仮称)」とは?

【試験の内容】
食品衛生に配慮した飲食物の取り扱い、調理及び給仕に至る一連の業務を担い、管理することができる知識・技能を確認する。
また、業務上必要な日本語能力水準についても確認する。

【試験科目】
「衛生管理」、「飲食物調理」、「接客全般」について知識、判断能力、計画立案能力(簡単な計算能力を含む)を測定する筆記試験とする。
全ての科目を受験することを要すが、飲食物調理主体または接客主体を選択すれば、配点について傾斜配分を受けることができる。

【測定方法】
試験言語:現地語及び日本語(国内試験は日本語のみ)
実施主体:民間事業者(公募により選定)
実施方法:コンピューター・ベースド・テスティング(CBT)方式又はペーパーテスト方式
実施回数:国内及び国外でそれぞれおおむね年2回程度実施予定
開始時期:平成31年4月予定

「国際交流基金日本語基礎テスト」とは?

【日本語能力水準】
ある程度日常会話ができ、生活に支障がない程度の日本語能力を確認する。

【評価方法】
実施主体:独立行政法人国際交流基金
実施方法:コンピューター・ベースド・テスティング(CBT)方式
実施回数:年おおむね6回程度、国外実施を予定
開始時期:平成31年4月から活用予定

「日本語能力試験(N4以上)」とは?

【日本語能力水準】
ある程度日常会話ができ、生活に支障がない程度の日本語能力を確認する。

【評価方法】
実施主体:(国外)独立行政法人国際交流基金/(国内)日本国際教育支援協会
実施方法:マークシート方式
実施回数:(国外)おおむね1回から2回実施/(国内)年2回実施(各都道府県で実施)

 

外国人を雇用する事業者に対して課される条件

1号特定技能(外食業)に基づいて外国人を雇用する事業者には、次の条件が課されます。

① 「食品産業特定技能協議会(仮称)」の構成員になること。
② 「食品産業特定技能協議会(仮称)」に対し、必要な協力を行うこと。
③ 農林水産省又はその委託を受けた者が行う調査等に対し、必要な協力を行うこと。
④ 登録支援機関に1号特定技能外国人支援計画の実施を委託すること。
⑤ 1号特定技能外国人に対して、「接待飲食等営業」を営む営業所で就労させないこと。
⑥ 1号特定技能外国人に対して、「接待」を行わせないこと。

※「食品産業特定技能協議会(仮称)」は、農林水産省、関係業界団体、登録支援機関その他の関係者で構成されます。
※ ④については、「食品産業特定技能協議会(仮称)」の構成員となっている登録支援機関に委託すること。

 

特定技能(外食業)に関する最新情報

特定技能(外食業)に関する最新情報は、当サイトに随時アップしていきます。
ご不明な点や、いち早く最新情報を入手されたい方は、気軽にお問い合わせください。

 

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