この記事の対象
- これから永住申請をしようと考えている方
- 永住申請の審査の最新動向を知りたい方
- 「永住申請が厳しくなった!」と聞いて不安な方
「永住申請が厳しくなった!」
そういう話を聞いて、不安を感じている外国人の方もいると思います。
実際、当事務所に相談に来る人の中にも、2019年6月以前なら永住許可を取れた可能性が高いけれども、審査基準が変わったことで困難になるケースもあります。
なぜ、このようなことが起こるのか?
永住申請の審査基準は、「永住許可に関するガイドライン」で定められています。
このガイドラインが、2019年(令和元年)5月31日に新しくなりました。
それにより、審査対象の拡大、提出資料の増加などが行われ、永住申請が厳格化しました。
この記事では、「永住申請がどう変わったのか?」、「これから永住申請する人はどこに注意すべきか?」について、わかりやすく説明します。
「永住許可に関するガイドライン」とは?
「永住許可に関するガイドライン」は、日本の法務省が作成した、永住許可申請の審査をどういう基準で行うかを定めている文書です。
永住許可に関するガイドライン(令和元年5月31日) , 出入国在留管理庁ホームページ
①素行が善良であること
②独立の生計を営むに足りる資産又は技能を有すること
③その者の永住が日本国の利益に合すると認められること
・・・という3つの要件が書かれています。
ガイドラインの文章を読んでも少し難しいので、こちらの動画の中で解説しています。くわしく知りたい方は、見てください。
▼ 【動画】よく分かる!『永住許可申請の取扱説明書-トリセツ-』
永住申請がどう変わったのか?
これから永住申請をする人にとって、今回のガイドライン改定のポイントは2つあります。
【ポイント①】
住民税の課税証明書・納税証明書の提出が「直近3年分」から「直近5年分」となった
来日して10年で永住申請をする場合、納税状況の審査対象が「直近5年間」となりました。
(参考:以前は「直近3年間」が審査対象でした。)
それにともない、住民税の課税証明書・納税証明書は「直近5年分」を提出します。
また、直近5年間、年収の基準額をクリアしていることが求められます。
【ポイント②】
国民年金・国民健康保険の加入状況も審査対象となった
永住許可申請の要件として、公的年金(国民年金)と公的医療保険(国民健康保険)の保険料を納付していることが明記されました。
これにより、国民年金や国民健康保険に加入し、かつ、保険料を遅れずに支払ったことを証明する資料を「直近2年分」提出することになります。
改正前と改正後の新旧対照表をご覧ください。
【参考】新旧対照表(永住許可に関するガイドライン)
改定前 | 納税義務等公的義務を履行していること |
改定後 | 公的義務(納税,公的年金及び公的医療保険の保険料の納付並びに出入国管理及び難民認定法に定める届出等の義務)を適正に履行していること |
永住申請の提出書類:就労ビザの人が申請する場合
ガイドラインの改定を受けて、2019年7月1日以降の申請から、永住許可申請の提出資料が大幅に増えました。
以下に、就労ビザ(技術・人文知識・国際業務など)を持っている方が申請する場合の提出書類をまとめます。
赤いアンダーラインの資料が、新たに提出が必要となったものです。
- 永住許可申請書(縦4cm×横3cmの顔写真を貼付)
- 申請理由書
- 住民票(世帯全員)
- 勤務先会社の在職証明書
- 住民税の課税証明書、納税証明書【直近5年分】
- 国税の納税証明書(その3)
- ねんきんネットの「各月の年金記録」の印刷画面
- 国民年金保険料領収書の写し【直近2年分】※
- 健康保険証の写し
- 国民健康保険料領収書の写し【直近2年分】※
- 預貯金通帳の写し(その他、資産を証明する資料)
- 身元保証書
- 身元保証人の在職証明書
- 身元保証人の住民税の課税証明書【直近1年分】
- 身元保証人の住民票
- 申請人の貢献に関する資料(表彰状、推薦状など)
※ 申請人が勤務先会社の社会保険に加入している場合は不要。
以下のケースでは、提出する資料が変わります。
・高度外国人材(70点・80点)として申請する場合
・日本人または永住者の配偶者が申請する場合 など
また、最適な提出資料は、申請される方の状況によっても変わります。
具体的なアドバイスを希望する場合は、ご相談ください。
よくある質問
次のようなケースで永住申請が可能か?というご質問をよくいただきます。
〇 直近5年間で年収が300万円以下の年がある
〇 税金、健康保険、年金に未納や支払いの遅れがある
〇 長期の海外赴任(出張)をしたことがある
〇 転職のとき、入管に届出をしなかったことがある
どのケースも審査でマイナスに評価される可能性はありますが、それだけで確実に不許可となるわけではありません。他方、入管に提出した資料は保管されるので、フォローの仕方を考えて慎重に申請書類を準備することが必要です。
上記のような事情のある方は、申請前に一度、専門家にご相談することをおすすめします。
ガイドライン改定に対する当事務所の所感
今回の改定により、多くのケースで提出書類が増え、永住許可申請に審査が厳しくなったといえます。
特に、転職経験者や自営業者の方には、次の2点の影響は大きいです。
① 課税証明書・納税証明書の提出が5年分必要になったこと
② 国民年金の納付に関する資料の提出が必須となったこと
審査の厳格化は、提出資料が増えたという外面だけでなく、在留状況などの中身もよりしっかりと見られるようになりました。
税金、国民年金、国民健康保険は、一度でも期限に遅れて支払った場合には、それだけで不許可となる可能性があります。
万が一、そのような状況がある場合には、事情を説明する資料を集めて理由書を作るなどの方法で、フォローすることが必要です。
どうしてもフォローができない場合には、不良事由が解消するまで永住申請の時期を遅らせるなどの判断も求められます。
永住許可申請は、不許可となっても何度でも再申請できます。しかし、過去に提出した資料は入管にすべて残ります。
そのため、一度目の申請から作戦を立てて臨むことが大切です。
ご不安なことがある方は、相談無料ですので、お気軽にお問い合わせください。
永住申請について詳しく知りたい方へ
自分が永住申請できるか確認したい方、永住申請の基本的なことについて知りたい方は、以下のWEBページをご覧ください。わかりやすく説明しています。
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