東京の都心部で11月に初雪が降るのは1962年以来54年ぶりで、積雪は明治8年に観測を開始して以来はじめてのことだそうです。四季や日本の気候が少しずつ変わってきていることを実感します。
昔の人は「初雪」をどのように感じていたのかなと思い、調べてみると、万葉集に一首だけ初雪を詠んだ歌がありました。
初雪は、千重(ちえ)に降りしけ、恋ひしくの、多かる我れは、見つつ偲(しの)はむ
大原真人今城
「初雪は幾重にも降り積もるといい。恋しさが募っているわたくしは、それを見て遠く離れたあなたのことを思い出します」というような意味です。なんだか寒さも忘れるような、ホカホカした歌です。
私はというと、初雪が降る中、今日は上野駅から北に向かう列車に乗って、ある経営者の方に会いに行きました。規模は大きくはありませんが、地域に密着した事業を行っている会社です。
さまざまなお話をうかがう中で、「経営者がつかむべきファンは”エンドユーザー”ではなく”従業員”」という言葉がとても印象に残りました。
社内の仲間意識が高まり、「経営者に恩返ししたい」という従業員が増えると、彼らはお客様を連れてきてくれる。そうしてやって来たお客様は、お店が従業員を大切にしている空気に安心して、口コミが広がるという好循環を生み出す。人が集まるようになるので、求人広告も不要になる。
お話をうかがい、地域に密着するサービス業を持続するための、ひとつの鍵があると思いました。