【コラム】「休眠預金活用法」の成立と子ども支援
12月2日、「休眠預金活用法」が参院本会議で可決し、成立しました。 銀行口座の存在を忘れてしまったり、預金者が家族に口座の存在を伝えずに亡くなったり、さまざまな事情で最後にお金を出し入れしてから10年以上放置されたお金を、子ども支援などの福祉に使うという内容です。 この休眠預金、これまでは預金先の銀行の収入になっていたもので、年に約500億〜600億円くらいになるそうです。 休眠預金活用の流れ (出所)朝日新聞DEGITAL, 2016年12月2日 具体的な活用法についてはこれから議論していきますが、①難 ...
【コラム】子どもの貧困と法律
私は約10年間、NPO法人ブリッジフォースマイルの理事として、児童養護施設の子どもたちの自立を支援する活動に取り組んできました。一般家庭よりも高い高校中退率、低い大学進学率、高い早期離職率という現実があり、18歳で施設を出たあとの彼ら彼女らの中には、常にホームレスや性産業と背中合わせの人生を生きていく人もいます。 しかし、このような過酷な人生を送る可能性があるのは、児童養護施設出身の子どもたちだけではありません。仕事と子育ての両立に悩むシングルマザーの家庭や、何らかの事情で生活保護を受給している家庭など、 ...
【コラム】コレクティブ・インパクト
米国で提唱された「コレクティブ・インパクト」(Collective Impact)という概念が、世界的な広がりを見せています。 コレクティブ・インパクトとは、政府、企業、NPOなどが、ある社会的な課題を解決するために協働し、インパクトを創出することを意味します。異なるセクターに属する組織がコラボレーションし、社会的課題を解決する試みは、新しいものではありませんが、コレクティブ・インパクトが従来のそうした取組と異なるのは、次の5つの条件を有する点です。 1.共通のアジェンダ(Common Agenda) — ...
行政書士のしごと|空き家の有効活用
本日発表のプレスリリースによると、東京都と東京都行政書士会が空き家問題の解決に向けて協定を締結しました。 ▶︎プレスリリース:空き家の有効活用に向けて、東京都と協定を締結(2016年6月30日) 「空き家の所有者と相続人の調査確認、資産の有効活用や手続きに関すること」を目的として、具体的には次のことに取り組んでいくようです。 1)空き家所有者等からの相談に応じる常設窓口を設置する。 2)区市町村からの依頼に応じ、行政書士を派遣し協力する。 3)本会が作成するリーフレットの配布や、空き家の有効 ...
社会福祉法改正|「公益的な取組」とは何か?!
2016年3月31日に衆院本会議で可決、成立した「改正社会福祉法」(2017年4月1日施行)では、福祉サービスの供給体制の整備と充実を図るため、社会福祉法人制度の改革と福祉人材の確保の促進の措置を講ずることが求められています。 「社会福祉法等の一部を改正する法律案」概要 1.社会福祉法人制度の改革 (1)組織経営のガバナンス強化 (2)事業運営の透明性の向上 (3)財務規律の強化 (4)地域における公益的な取組を実施する責務 (5)行政の関与の在り方 2.福祉人材の確保の促進 (1)介護人材確保に向けた取 ...
小規模多機能自治|行政書士ができること
島根県雲南市とIIHOE[人と組織と地球のための国際研究所]が中心に運営している「小規模多機能自治推進ネットワーク会議」の勉強会に参加しました。 雲南市は知る人ぞ知る地域経営の先進地域で、地域自主組織をうまく機能させた仕組みづくりはとても興味深いです。 ▼参考:「小規模多機能自治による 住民主体のまちづくり ~雲南市の地域自主組織~」(島根県 雲南市) 「小規模多機能自治」とは、”地域”とひとくくりにしても人口構成や抱えている課題は違うから、小学校区単位くらいの規模で区切って、それぞれの小規模地域ごとに市 ...
ユーグレナの出雲社長の講演を聞きに行きました
ユーグレナ社長の出雲充のトークイベントに参加しました。ユーグレナは、ミドリムシ(学名ユーグレナ)を使って、食料・栄養問題、地球温暖化問題、エネルギー問題という世界を悩ませる大問題を 解決しようというバイオベンチャー企業です。 ビジネスとして成功している背景には、さまざまな要因がありますが、出雲さんが「世界から飢餓や貧困をなくしたい」という理念を持ち続け、その想いが伝染するかのように人が集まってきたことが大きいように感じました。 成功している起業家というと、特別なイノベーションを生み出す力があったかのように ...
NPO法人とイギリスのCICの話
NPO法人と株式会社のちがい 少子高齢化、過疎化、格差、子どもの貧困・・・、”課題先進国”といわれる日本が立ち向かっていかなければならない社会課題はたくさんあります。 地域の社会課題というと、少し前まではもっぱら行政や市民活動団体が取り組むものというイメージでしたが、ここ数年、ビジネスの手法で社会課題を解決しようと考える企業や起業家も増えて来ています。その背景には、特に地域でビジネスを行う企業が、企業が持続するためには地域の持続が不可欠であると気づき始めていることがあります。 これからソーシャルビジネスを ...
トヨタ方式をNPOへ
飯田橋にあるトヨタ自動車株式会社の東京本社に行きました。トヨタといえば日本企業で初の純利益2兆円を達成し、売上高で日本1位(2015年3月期)、転職希望ランキングでも日本1位(2015年)という日本を代表するリーディングカンパニーです。Interbrand社のブランド価値ランキングでも、アップル、グーグル、コカ・コーラ、マイクロソフト、IBMに次いで世界第6位に入っています。 (出所)"The Best 100 Brands", Interbrand 何をしに行ったかというと、、、今年の5月からはじまる「 ...